えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

バーナード・リーチ「バーナード・リーチ日本絵日記」読みかけ

2009年03月02日 | 読書
晴天の今日、明日からまた雪で、吉野梅郷の梅もまだ七分咲き、と
いったところでしょうか。
山をうろうろとさまよったので明日はおそらく筋肉痛でしょう。

勝手ですが、うすピンクの八重の梅を「もも梅」と呼んでいます。
紅梅というには薄すぎて、白梅というにはもも色過ぎるふんわりした花の
梅は、ピンクというのも色気がないので「もも梅」にしたいと思います(おい
梅郷の「もも梅」で一番かわいいのは「朱鷺の舞」という青梅出身の梅。
特に開きかけのとき、花びらがはすの花のように広がって、
花のおしりの方から濃く、花びらの先に向けて真っ白に咲く、とてもかれんな
「もも梅」なのです。
なので吉野梅郷に行ったら「朱鷺の舞」というもも梅をめでましょう。


まったく脈絡は無いのですが梅郷に連れて行った本が今日の本です。
:講談社学芸文庫『バーナード・リーチ日本絵日記』
バーナード・リーチ著・絵
柳 宗悦訳

戦争をまたいで日本を愛した英国人の陶工です。
そしてまた、与謝蕪村のような素描を描く人です。
彼が、1952年ごろ日本に戻り、民芸運動の創設者柳宗悦たちと
旅した紀行文を、本国の人向けに書いたものを翻訳したものが本書です。

『日本は真の芸術の国だ。それは血液にも時間にも室内にもある。
この感受性、魂を養う五官を通じての感得、味わい、色彩、秘められた魅力。
それは永井洗練の歴史を通じて生み出されたものであり、ここでは芸術が、
外国の芸術すらもが、生活の一部として適切な位置に存在している。』

リーチは、外国人の目から見た日本という位置から離れないまま、
物事を語り続けています。
あくまで自分は、この文化に住んでいないぞ、という謙虚さを
保ちながらも、日本への止まない愛情がただただ溢れた文章にあわせて、
リーチの線描で描かれた柳、河井寛次郎、各地の景色が電車の車窓のように
流れてゆきます。
ただの懐古ではなく、敗戦後、心の支えまで失い迷走する日本から、
失われてゆく民芸の感覚を、本気で憂えているリーチの視点が心を撃ちます。

彼は考えることをやめない人です。
本質を掴もうと感覚を磨きながら、論理的な、英国人ならでは、
ともいえる冷静なまなざしで分析することをやめません。
こう書くと、とってもお堅そうに見えますけれど、
いっぽうで、学術文庫、には似合わないほど表紙は素朴でかわいいので、
見かけたら手にとって見てくださいませ。

あ、あと明日、日本民藝館を訊ねようと思っています。
コメント
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