医療の情報化。（手術成績） intelligence style of medical treatment

　(1)医師免許には多分、実技テストはない。自動車運転免許（自動車学校）と同じで、免許テスト前に実技経験（インターン）を重ねての基礎、応用、専門知識の基準化資格テストで実技免除が一般的だ。

　高年令化社会をすでに迎えて、社会情報にはメディアがとり上げる各医療専門分野の「名医」、高度技術の「医療機関」のあながち興味本位ばかりと言えないランキングが目を引く。
　メディアの趣旨には、医療技術力の安全、安心レベル情報の統計データ提供なのか、医療弱者の病気治癒の「藁（わら）」をも掴（つか）む思いを意図的に操作するメディア独断のスクープ体質なのか、よくわからない。

　「名医」、高度技術の「医療機関」と言っても、仮に情報に「精度」があったとしても、いつでも、すぐに応診できる訳でもなく（場合によっては何年先かという話も聞く）、あたら夢の期待ばかりを持たせるメディア興味のスクープ（scoop 特権）だからだ。

　(2)それより、医師免許基準の適正化により生命維持、治療行為の技術力に最大公約数の「医学能力」レベル化を保障するシステムの分析、確認、効果の検証が求められている。

　日本胸部外科学会は、各病院単位での「手術成績」（心臓疾患、肺がん、食道がん）を年内に公表（病院名は非公開）することになった。メディアの同種の情報には「精度に問題」（学会）があるとして学会がまとめることになったと言う。（報道）

　成績基準は、手術件数、死亡率データによる単純比較データになるものだが、受取る側の主観の問題もあるがそれでは必ずしも「医療水準の高さを示す」（学会）もの、比較データとは言えない。

　(3)「患者に手術リスクを説明する情報」（学会）ではあっても、かえって医療弱者に不安と不信と格差意識を増幅させるだけだ。病院の医療技術の格差化、競争拍車により医療技術の向上を狙ったものなら、視点はメディア論と同類だ。

　(4)病院の「医療総合能力」のレベルを知る判断基準として、病院「統治」能力がある。すぐれた医療現場では、医師、看護師の使う「言葉」が総じて「患者本位」で「丁寧」、「親切」、「親身」、「具体的」であることだ。これは、よくわかる。

　高度に専門的で一般的に能力確認が見えない困難な医学、医療分野は、かっては閉鎖的で強度に独善的なところがあった。
　医療現場からの積極的で「多様」な情報開示（intelligence of medical treatment）は、医療技術の実態とあわせて医療への信頼性、技術力と医療弱者の選択肢を広く水準化（high standard）へと向かわせる。