いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

終身雇用制と次世代。 moral employment system & next generation

2012-07-25 19:35:29 | 日記
 (1)かってのGDP世界2位で経済大国として注目を集めた時代の日本の経済力は、国民の教育水準の比較高さ・標準性、勤勉性、協力性、順応性、規律性の高さが生産力、開発力、販売力を維持して高く評価されてきた。
 その中に終身雇用制(moral employment system)もある。就職すると余程のことまた本人の希望でもない限り、生涯その仕事に従事する安定感、習熟性、成熟度が意欲、活力、計画、人生設計に貢献できるメリット(merit)がある制度として、長く日本経済を支えてきた。

 貿易技術立国の日本では人材、人間力は高い社会資本として、生涯を通して育て、向上、配置して企業力の基本財産として高度経済成長を支えてきた。

 (2)その後、情報化社会、経済のグローバル化時代を迎えて産業も2次産業中心の長大重厚型から3次産業、情報産業中心に変化して、生涯同一企業精神性から欧米型の適材適所、個性能力、専門性活用型の労働形態も多く取り入れられるようになって、今や非正規社員が35%を占める日本の産業人口構成だ。

 しかしそれは企業生産効率化のピース(piece)としての労働力だけでなく、日本も高度経済成長期を過ぎて反動としての安定不況時代の経済成長鈍化の中で、人件費抑制策、調整機能対策として採用されてきたものだ。

 (3)しかし、世界経済は08年の米国リーマン・ショック以降、世界同時不況、異常な円高が恒常化して現在も欧州財政金融危機が回復の方向性もなくて、円高ドル・ユーロ安、株価低迷が世界経済に暗い影を落としている。

 欧米型の労働形態が注目されていた頃にも、米国では日本の「終身雇用制」が注目を集めたことがある。トヨタほか日本の自動車産業、製造業が米国社会に進出してイニシアチブ(initiative)をとっていた頃で、高い安定性、習熟性、成熟度が企業活力に貢献すると見直されたものだ。

 (4)そういう日本独自の労働形態が国内外の長引く金融不安、デフレ、円高不況の中で、さらに韓国、中国などアジア新興国の経済成長、開発力の影響をモロに受けた家電業界を中心に企業生き残りのために軒並み大規模な人員削減(restructuring)を発表して、またアジア新興国企業とのM&A、資本提携協力関係に活路を求めている。

 手っとり早い企業収益改善(人件費抑制リストラ)の方法でしか企業存続がむずかしい現実だ。欧米ではワークシェアリング(work sharing)で雇用確保優先の動きもある。
 生産部門の海外拠点化、外国人採用も合わせて日本の終身雇用制からのやむを得ぬ撤退だ。

 (5)日本企業の特に創業経営者には終身雇用制にこだわりもあって、人員整理には敗北感も強い。また今の時代にあっても一線企業内には労働者の企業への愛着も強いデータもある〔シャープでは経営者の「人員整理よりは会社解散を選ぶ」に多数の社員から会社存続のために自主退職の申し出があった(報道)〕。

 日本は世代の二極化、格差問題もあるが、次世代を見据えた「持続性」のある雇用形態について企業も労働者も責任ある判断、行動が大切な現在だ。
 雇用不安に効果的な政策を打ち出さない政治の貧困が問題だ。

 

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