いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

国家とタリバン。 state and taliban

2021-08-14 20:18:49 | 日記
 (1)米軍が撤収を始めたアフガンで旧支配勢力タリバン(taliban)の攻勢が続く。アフガン主要都市の制圧が続き、アフガン全土行政区(400)の半数以上(242)を支配下(報道)に置いているといわれる。

 全土を制圧する勢いだが、かってはタリバン政権がアフガンを支配(96年~01年)していたが01年9月の米同時多発テロ首謀者のアルカイダ、ウサマ・ビンラディンをかくまったとして米国の軍事介入を招きタリバン政権は崩壊した。

 (2)米国は11年5月に国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディンを報復殺害して目的を達成して、テロ組織と対峙してきたアフガンの長い戦闘からの米軍撤収を表明していた。米軍撤収にあたってはタリバン側との停戦合意が話し合われたとの報道もあり、またタリバン側は中国王毅外相と会談して米軍なきアフガン情勢について協議したことも考えられる。

 その後のアフガンでのタリバン側の攻勢だ。しかし、かってのタリバン政権では隣国パキスタンなど3か国からしか承認が得られずに(報道)国際的に孤立し、困窮して、その後米軍投入により政権崩壊している。

 (3)その経験からのタリバン側の中国接触のあらわれでもあり、また中国としても米軍撤退後のアフガンへの影響力拡大の目論見でもあるのだろう。IS(イスラム国)も反米国家樹立を目指して過激な国際テロ活動、住民犠牲、殺戮(さつりく)を進めたが、フロンティアな時代であればそれも国家樹立の革命的方法論であったかもしれないが、今は世界に数百という国家、地域が存立して国際連合も組織化されている時代で、市民を犠牲にして、盾にして、隷属させて国家権力を認めさせようとしても国際社会からの反発、非難は大きく、ISの野望は叶わずに一時のような勢力はなく衰退している。

 (4)タリバン側と政府軍の戦闘の行方はどうなるのか、政府を差し置いてタリバンが中国外相と会談、接触するという政治状況はタリバンの影響力を誇示するものであり、中国を後ろ盾に今後もアフガンにおけるタリバンの存在、影響力が支配的になることは間違いないだろう。

 報道によるとここに根強いアフガン独自の軍閥組織が戦闘に参加して、政府、タリバン、軍閥組織の三つ巴(どもえ)の混戦となって行方はわからない。イラクのような米軍解放後の混迷を導くことも考えられる。

 (5)これに乗じて国際テロ組織が勢力を復活させることになれば世界は再び暗黒の時代を迎えて、米国内でもアフガンからの米軍撤収に対する懸念、批判も出ている。問題はタリバン側がアフガン全土を制圧して再び国家統治を目指すのかだが、報道ではタリバン幹部は「我々がきちんと国を統治できれば国際社会も認めざるをえないだろう」と自信をみせている。

 (6)しかし、これまでのウサマ・ビンラディンをかくまい、擁護する姿勢や、人権抑圧、女性差別の時代回帰の恐怖支配を続ければ国際的非難は避けられない。パキスタン、中国を巻き込むとすれば、ともに核保有国であり軍事衝突もくり返しており、アジアに緊張を拡大することになる。

 (7)「イマジン」の理想論で、国も国境もなく人類はどうやって生きていくのかと書いたが、香港、ミャンマー、アフガンと政治、軍事不安定が連鎖して国家のあり方が問われている。

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