(1)G7広島サミットが19日~21日に開催される。中国の海洋進出、台湾問題、露のウクライナ軍事侵攻に対してG7国が結束して対抗する意思表示になるが、広島開催ということで政府は「核兵器のない世界」について成果文書に反映させたい意向といわれる。
(2)核兵器(原爆)は78年前に第2次世界大戦で広島、長崎に投下された以外これまで使用されたことはなく、近年露のクリミア半島編入で後にプーチン大統領が核兵器の使用を考え準備した趣旨の発言があり、昨年2月のウクライナ軍事侵攻後もプーチン大統領は核兵器の使用について言及している。
(3)核兵器はその破壊力、後遺症、副作用で78年前とは比較にならない規模で実際に使用することはむずかしい判断の究極の兵器であり、脅しととられられるのが通常だ。地域限定的な戦術核兵器でも一旦使われれば影響力は未来に残り、生活が戻ることは考えられずに地球環境破壊の責任は重く大きい。
(4)実際に使用することがむずかしい核兵器を保有する意味、しかも必要以上に大量に保有する意味について核保有国の指導者の理念、考え、意思は理解できないが、しかしプーチン大統領からは核兵器使用の発言が容易に聞かれるようになったのはソ連邦崩壊による国際社会からの孤立感であり、その反動としてのかっての大ソ連邦復活に賭けた強い思いによるものと考える。
(5)政治指導者はそれが大国となれば国際社会で影響力、求心力を高めて勢力を拡大して地位を高めて国を発展させることを考えるものだが、孤立したプーチン大統領にはウクライナ軍事侵攻も欧米に対抗する危険な賭けであり、核兵器使用論も成功するかのイチかバチかの賭けとしか考えられない。
(6)現実に米国はウクライナ戦争に参戦すれば米露第3次世界大戦になるとの危惧からウクライナへの兵器支援にとどまらせている。G7広島サミットでの「核兵器のない世界」の声明が成果文書に盛り込まれることでプーチン大統領の核兵器使用論に歯止めとなれるのかは、G7国の「その後」の行動にもかかわってくる他の核兵器保有国、開発国に対して結束して共同して強いメッセージを伝えれるかは重要だ。
(7)英仏は当初は被爆地広島でのG7サミット開催には難色を示したと伝えられて、マクロン仏大統領は台湾有事に対して中国にも台湾にも距離を置く米、日とは違う考えを示したといわれて、G7の結束も容易ではない。