(1)2つの裁判があった。2017年当時の安倍首相が通常国会で森友、加計疑惑で追及を受けていた時に、通常国会後に野党は早期に臨時国会の召集を求めたが安倍政権は応えずに要求から98日後にようやく臨時国会を召集して、冒頭に衆院を解散して総選挙に打って出た。
(2)国会質問の機会を奪われたとして一部議員が損害賠償を求めて提訴していた。最高裁は「召集決定の遅滞により、要求した議員の権利が侵害されるとは言えない」(報道)と判決した。しかし裁判に関わった裁判官のひとりは、安倍内閣は召集要求を拒否したと反対意見を述べ、地方自治法を例に20日以内に臨時国会が召集される義務を負うと指摘(同)した。
(3)結果は安倍首相が要求から98日後の臨時国会冒頭に解散総選挙をして国民の審判を受けることになったのだからいいという考えもできるが、議員としては国民の負託を受けて国会で首相、政権の意向、疑惑を追及する機会が長く失われた不利益は問題があるといえる。
最高裁判断としては召集時期の判断は内閣(内閣の助言による天皇の国事行為)にあり、早い遅いはあっても議員の国会審議、質問の機会は保障されており問題はないという型通りの解釈、考えを示したものだった。
(4)しかし野党が安倍首相の疑惑解明のために国会追及で質したい時に、その対策、時には口裏合わせ(公文書書き換えがあった)、証拠隠滅のために国会召集を遅らせるということが恣意的になされることがあれば国民の知る権利(right of know)を侵害するもので、現在与野党から提出されている要求から20日以内の国会召集の法制化が必要だ。
(5)もうひとつもおかしな行政の判断にかかわる裁判だ。出会いがしらの交通事故違反で起訴(刑事処分)された女性が運転免許証の取り消し処分(行政処分)を受けて、しかし裁判で女性の過失はなかったとして無罪判決を受けた。
そこで公安委員会に職権で運転免許証の取り消し処分を取り消して免許証を女性に返還するよう求めたところ、刑事処分と行政処分は別ものとして行政処分に瑕疵(かし)はないとして応じなかった。
(6)刑事処分に基づいた行政処分がその根拠とする刑事処分が無罪となったのに、行政処分の手続き論は正当だったとして免許証の返還には応じていない。やむを得ず女性側は裁判で争っているが、地裁は行政処分は無効と判断したが県側は控訴して争っているおかしな裁判だ。
こちらも型通りの解釈、あるいは間違った前例があるのか行政処分の正当性を主張して訳の分からない展開を見せている。
(7)裁判の判例主義、行政の公平性、公正性の論理はあるのだろうが、要求者の「認められた」利益、権利を優先して対応することが当たり前の理論だ。