(1)昔と今を比較して考える。映画は「昔」の方がよかった。感動、記憶を呼ぶ大作は昔の方が圧倒的に多くて、それだけカネと人と時間をかけていた。文化、娯楽の中心で、今のように多様性のない時代で必然的に期待にあるいは社会の要請に応えようといいものが多かった。
(2)音楽はジャンルによって異なる。ジャズがスウィング(フルバンド演奏)全盛の頃の「昔」の名バンド、名曲、名演奏、名盤は多い。クラシックはコンテンポラリー・クラシックもあるが1700年、1800年代のベートーベン、モーツアルト、ショパン、バッハなど古典時代の音楽をいうことが多い。
(3)しかし、ロック、ポップスをみると他に比べて歴史も浅く、特に1960年代のビートルズからの「現代音楽」の方がいい。曲が独創的で演奏も多様になり、音楽に厚みがある。音楽分業制から曲、歌、演奏がひとりのミュージシャン、バンドで手がけて主張、意思が伝わり多様性を増した。
(4)文学は「昔」の方がよかった。文豪、古典作品は多く、文字との接点、機会が多く、巧みで深く独自の世界観が多くあった。
(5)社会はどうか。かっては50年、60年、70年ひとくぎりだったものが、今や人生100年時代を迎えている。人間が長生きに転じたのは、医学、科学、生命工学(バイオ)、経済、文化が進んで人間が豊かになったからだ。
(6)現在のところの国家力、国民力の指標となるGDPは昔より今が圧倒的に高く、経済力、開発力、成長力も高い。しかし、「幸福度」(a degree of welfare)となると、どうか。
GDPが高く、経済力、成長力が高い社会に生きているから誰しも「幸福」ということではない。
(7)ブータンでは人間の社会的価値基準をGDPなど経済力ではなく、「幸福度」(国民総幸福量)で測るといわれている。
人間が生きる上で幸福度は重要で、それはなかなか昔も今も杓子定規には考えられないところがある。
(8)岸田首相の成長と分配の好循環は国民の幸福度を増すものだが、補助金、給付金、補正予算の経済対策だけでは国民の幸福はやってこない。