(1)ノーベル経済学賞は日本の研究者、学者などにはさっぱり縁のない賞で、経済国日本としてはどうなっているのかこちらもさっぱりわからない。かってはものづくり大国として自動車、船舶、重機、建設、家電で世界的な技術開発力、製造力、販売力で世界経済を支えてきたもので、大学教育でも経済学、経営学、商学というのは法学ほどではないが基礎学問として人気も高い。
(2)しかし、法学では司法、裁判官、弁護士などその専門法律能力、学問を活かして活躍する分野はあるが、経済、経営、商学となるとその専門能力、学問を活かして社会的に成功するとか活躍するという話しにはそんなには結びつかない。
むしろ経済分野としての専門学問知識は受けていなくても現場主義で台頭して、会社経営を起こし、発展して日本、世界に進出する先端的企業を育てる経済能力の高い経営者の話は聞くことはある。
(3)これが理学、工学、医学となると学問、専門知識と直結して研究室からしか先端的、専門的、未来的研究開発は出てこない分野だ。そういう経済学系分野の特性もあって普通では考えにくい専門的なおもしろい取り組み、結びつきで思わぬ現象を説明する、解明する研究もある。
(4)今年のノーベル経済学賞は「社会制度の違いが国家の繁栄に影響を与えることを解明した研究の成果」(報道)により米大学3教授に授与された。実におもしろい研究で、社会制度の違いが国家の繁栄に影響を与える、国家間の格差が広がる背景に政治や経済といった社会制度の違いがあることを実証した。
(5)中国は巨大人口による巨大消費市場で米国に次ぐ経済力を保持しているが、3教授の研究では法の支配が乏しく、国民をさく取するような制度を持つ社会の成長は長続きしないことを裏付ける(報道)ものだ。
国家の繁栄には民主主義的な制度が重要だとして、中国に対しては長期的で持続可能な成長を達成する上では問題があるとしている。
(6)中国が内政干渉として反発しそうだが、何となくおもしろい、わかりやすい専門的な経済学理論でもある。日本としてはトマ・ピケティ理論による大企業、富裕層に対する課税強化で格差社会を解消することが求められて、石破首相がまだ大企業には増税を引け受けれる余地(増え続ける内部留保)があるとしながら金融所得課税に踏み込まない社会制度上の問題があるのは懸念材料だ。