(1)中国、台湾が日本産魚介類、食品類の輸入全面解禁を決めた折りでの中国での日本人児童らの登校中の殺傷事件は、関係改善に正に水を差すことになった。中国では国内経済不振に対して中国国内の日本の魚介類要望の高まりもあり、政治的解決の必要に迫られての輸入全面解禁だったが数か月の間に二度の登校中の母子、児童の襲撃事件が起きて、中国国内で何が起きているのか中国政府も早期の事態鎮静を狙って事件の背景、動機、経緯などには応じずに「どこの国でも起こりうること」(報道)としてとりあわない姿勢だ。
(2)世界的な保護主義(protectionism)による中国での日本人排斥の影響が考えられるが、中国ではSNSを使った日本学校、日本人攻撃、排斥のデマ情報が拡散しているといわれて、事件との関係がないのか懸念される。
特に無防備の児童を狙った卑劣で凶悪な事件であり、中国政府としてもこちらは政治的解決で済む問題ではなく、日本からの商社員に対するスパイ容疑での逮捕も増えており国際社会、企業から中国への警戒感、不信が強く、中国からの撤退も考えられて中国の国際的信用、威信にもかかわる最近の統制的保護主義の国内情勢だ。
(3)中国国内経済不振で冒頭の日本産魚介類全面解禁で国民の要求に応えての経済不振建て直しにも影響することが考えられる事態だ。移民、外国人就労問題は米国でも一時日本人、アジア人排斥無差別暴力事件が発生して社会問題化して、もはや移民なしでは米国社会、経済が回らない中で米国経済の恩恵を受けれない人々からは反感、反発を持って捉えられる社会現象も起きた。
(4)米国では建国以来の人種差別、銃社会が保護主義、社会思想を形つくってきており、トランプ前大統領が主張する保護主義は米国の自由で開かれた民主主義、自由主義社会では、従来から根差した文明、文化、社会思想であると考える。
世界政治では情報化時代、IT時代を迎えて既成、既得権益政治への不満、反発が強くなっており、中国でもかねてから日本人への対抗心、批判、反発が起きて集団的対抗意識をあおり、共産主義独裁国家としての統制的保護主義が問題を起こしてきた。
(5)しかし、今回の登校中の日本人母子、児童を狙った連続殺傷事件は、次元の違う異質なものであり中国政府も日本との経済的関係改善に迫られて日本人の中国国内安全が守れない、統治機能が働かないでは国内経済不振で迫られた日中関係改善に逆行するものだ。
どこの国でも起こる問題として事態鎮静化を急ぐ中国政府は戦前の旧日本軍による中国本土侵略支配の例をあげるかもしれないが、グローバル時代で世界的影響力、経済市場力を占める中国としてはすでに外国人の保護、安全に大きな責任を持つ立場にある。