(1)17年に核兵器廃絶国際NGO「 I CAN 」がノーベル平和賞を授賞した。国連核兵器禁止条約の推進に貢献、寄与した業績、成果での授賞だ。
日本被団協は取り残された。日本は世界100か国、地域以上が参加する国連核兵器禁止条約には参加していない。米国の不公平条約との主張に従属して、米国など核保有国と同調行動を取っている。
(2)今回ノーベル賞委員会は、その日本被団協にノーベル平和賞を授与した。近年のノーベル賞は政治的に抑圧、弾圧(獄中)されている政治家、作家、民主化活動家に文学賞、平和賞を授与して、当該国から内政干渉との反発を受けることがあった。
ノーベル賞が専制的独裁国家から弾圧、脅迫を受け不当拘束される人物、活動の存在、立場を露出して授賞という形で世界に知らしめるのはひとつの安全、活動を守る作用ではあるが、自然科学、経済、文学、平和と世界、国家、社会に貢献、寄与する業績評価を表彰するノーベル財団としては政治的動きに偏向して国家に対抗する姿勢は目的、意義からふさわしいのかはむずかしく、考えなければならない作用だ。
(3)それは国連、世界政治の役割、使命であるが、機能していないことが問題だ。今回の日本被団協のノーベル平和賞授賞は「核兵器の使用は道徳的に容認できないという国際規範の確立に多大な貢献をした」(報道)ということが評価されたもので、ウクライナ戦争で露プーチン大統領がたびたび核兵器使用を示唆する発言がある中で、唯一の戦争被爆国日本の長年核兵器廃絶運動を押し進めてきた日本被団協にノーベル平和賞を授与することで日本政府の役割、使命、責任の大きさ、重さ、重大さに期待する意味はある。
(4)石破首相も訪問国で「極めて意義深いことだ」と述べている。言葉を理解するなら、日本政府として「意義ある」行動、主張が試されるもので、それにつながるものとすれば日本被団協のノーベル平和賞授賞は本当に意義のあるものになる。
(5)ノーベル平和賞とは何かという理念、ジレンマに悩まされたノーベル賞の近年の政治的すぎる選考でもあるが、それなら日本被団協は平和賞ができてもっと早い授賞対象であった。