(1)資本主義が後退しているといわれるが、利益が一部の資本家に集中して経済格差社会を生んで企業は「モノ言う株主」に配慮してか株主配当金を増やして商品価格に転嫁反映して、賃金には反映せずに国民生活は楽にはならない悪循環だ。
(2)そこで岸田首相は「新しい資本主義」を唱えて「成長と分配の好循環」を目指すとして、企業に賃上げを要請している。IMFの22年経済成長率の見通しでは世界全体4.4%のところ日本は3.3%と主要国では最低率で23年は1.8%(世界全体3.8%)とさらに低下が見込まれている。
(3)成長と分配の好循環には厳しい予測で、この中で好調企業と不況企業との格差のひろがりがみられコロナ社会ではさらなる経済格差社会を生んでいる。そこで政府のコロナ対策で分科会の尾身会長が主張するのはコロナ社会規制強化ではなく経済社会活動への転換で、欧米との比較経済成長の遅れを取り戻そうというものだ。
(4)政府は物価高騰を引き出している世界的原油高によるガソリン価格の安定をはかろうとして、異例の元売りへの補助金をだすことを決めている。先には米国などの呼びかけに応じて石油の国家備蓄の放出も決めており、対応を急いでいる。
ガソリン価格もかっては原油輸入価格に合わせて採算価格制がとられて一定期間石油価格は変わらなかったが、近年は消費者物価変動制と同じく需給バランスを考慮した日替わり価格となって、ガソリン価格の実体、実情がよくみえない。
(5)ガソリンスタンドも近隣の市場相場をみながらのその日の価格設定といわれており、生産(経費)と販売(利益)の市場利益原理が働いているとは考えられない不可解さだ。政府はガソリン価格高騰に元売りに補助金を出すとしているが原資は国民投資(税負担)であり、これによりガソリン価格が下がっても国民消費者からすれば差し引き利益はほとんど変わらないことになり実質効果は乏しい。
賃上げ企業には法人税減税をするといっているので、石油価格高騰時のガソリン税の一時減税(トリガー条項)の適用を考える方法論もある。
(6)岸田首相は予算委員会で株主の配当金を増やし賃金には反映しない株主資本主義からの転換も重要な考え方のひとつと答えており、「人」への投資も唱えており、利益が一部の資本家に集中する経済格差の株主資本主義から国民に利益が公平、公正に行き渡り分配される国民資本の資本主義、民主主義への取り組み、実現が必要だ。