(1)石破首相は24日の通常国会での施政方針演説ではじめに「国づくりの基本軸」として堺屋太一氏の著書から引用の「楽しい日本」を目指すと述べた。トランプ大統領の20日の就任演説ではいきなり「黄金時代」がくると述べたのに比べ、政治としては概念も甘い「楽しい日本」はインパクトに欠けた。
(2)続いて「楽しい日本」を実現するため「令和の日本列島改造」を強力に進めるとある。こちらもどうも田中角栄元首相の「日本列島改造論」を連想するもので(演説でも引用を指摘した)、二番煎じはいいとして日本列島改造論は新幹線、高速道路網で全国をつなぐものであったが、土地価格高騰を全国、地方に広げて田中角栄氏の支持基盤である建設、不動産業の利益に貢献したつながりが強くその後ロッキード事件の汚職で逮捕されたこともあり、今を揺るがす裏金問題の政治とカネの原点として強く記憶に残るもので印象は悪い。
(3)裏金問題で少数与党となっての通常国会での石破首相の演説で内容は別にして日本列島改造論を見習った令和の日本列島改造を持ち出すのも石破首相の政治感覚、ピントは外れている。それをいうなら少数与党の日本は「不安な日本」だ。
そこで「楽しい日本」だが、自分の夢に挑戦し「今日よりは明日はよくなる」活力ある国家を目指すと抽象的でIT、AI、賃上げ時代の可能性を考えているのかはわからない。
(4)25日から始まった野党の代表質問では、今の日本は物価高で国民生活は負担が大きく、能登地震、水害被害は避難生活は続いて復旧、復興が遅れている現状で野党から「楽しい日本」に批判があった。
「楽しい日本」の核心が「令和の日本列島改造」というのも能登地震、水害被害対策に加え南海トラフ地震も警戒予備情報が発表されるなど防災庁の新設も効果が及ぶのか、間に合うのか「苦しい日本」だ。
(5)現実問題として賃上げ、日銀の利上げが続き、103万円の壁見直しがあればあかるい兆しではあるが物価高は収まらずに、その後は夏の参院選、大阪万博の不人気で「苦しい日本」が待ち受けており「不安な日本」だ。