いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

状況証拠裁判。 trial of circumstantial evidence

2021-08-25 20:13:01 | 日記
 (1)特定危険指定暴力団トップに死刑判決が出た。暴力団のトップの死刑判決は初めてといわれて意外で、この組織の責任は下への絶対的服従、上意下達の体質がみてとれる。裁判は証拠第一主義が原則であるが、それよりも重要なのは社会正義、パラダイム(paradigm)が正しく守られることにある。

 (2)暴力団トップの死刑判決には、最近の司法、裁判判断の変化もある。近年、情報化社会の中で物的証拠の少ない犯罪も増えて、司法、裁判は状況証拠(circumstantial evidence)の積み重ねで裁判官の推認、推論組み立てによる有罪判決も出てきている。

 桜を見る会疑惑でも安倍前首相の後援会が参加者の費用を補填した(収支報告書無記載違反)ことはわかったが、公設第一秘書のみが略式起訴され、これに安倍前首相がかかわったのか、知っていたのかは証拠不十分で不起訴となった。

 (3)安倍前首相を支援する後援会員の費用を後援会側が補てん接待するするという選挙の票になる、結びつく、確保する重要案件について、安倍前首相が知らなかったというのも理解がむずかしいところで、検察審査会では安倍前首相を起訴相当と判断した。

 冒頭判決は上意下達、責任は下への政治犯罪とも似た構図の事件であり、トップが裁かれた判例主義の裁判では今後政治犯罪でも影響が出てくるとの見方もある。

 (4)暴力団対策は社会正義、パラダイムを守るとの大義名分があるが、政治と司法は三権分立の立場もあり、これまでも高度な政治判断を理由に司法、裁判は政府寄りの判決が目につき、踏み込んでこなかった。

 (5)最近の司法、裁判官の推認、推論による状況証拠積み重ねによる有罪判決が出ている傾向をみれば、秘書に責任を押し付ける政治犯罪でもトップの責任を認める政界浄化につながる期待はある。

 もちろん刑法は報復主義をとらずに、証拠第一主義に重きを置くものであり、裁判官の推認、推論による状況証拠の積み重ね立証は社会正義、パラダイムの確立、守ることが大原則であり、私人、個人の利益、権利を大きく制約する裁判判断でえん罪を生むことがあってはならない。

 (6)証拠立証がむずかしい犯罪に対して社会正義、パラダイムを守ることを大原則として、どうやって犯罪立証に立ち向かうのか、国民が納得できる公平で公正、平等な司法、裁判判断のロールモデルが必要だ。

 判例主義もそのひとつだが、時代、社会は大きく変化しており、それだけでは適応、理解されるものではない。

 

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あたらしい歴史の覚悟。 preparedness of a new history

2021-08-24 20:17:10 | 日記
 (1)歴史はくり返すものだが、いつもというわけでもなく、いつかはわからない。イラクで起きたことは、アフガンでも起きる。横浜市長選は菅内閣の前閣僚が立候補をして、菅首相が地元出身のその自らの盟友候補者を支援するという構図で首長選としては異例の注目を浴びた。

 注目を集めたのは、菅首相の盟友候補が菅政権が進めるIR横浜招致に反対を表明しての立候補で、異例の展開となった。

 (2)結果は当選した政治経験のないコロナ専門家の元大学教員に大差をつけられての敗北だった。当選者を推薦応援した立憲幹事長は「首相のお膝元にもかかわらずにこの結果が出たことは、菅内閣に厳しい評価が下された」(報道要約)と述べたが、敗れた自民党幹部からは「地方自治の選挙結果が国政に反映することはない」(同)とお決まりの定型句で国政と切り離してみせた。

 (3)本心はそうではないだろう。09年本格的な政権交代を果した民主党は、直前の東京都議選で自民党が敗北した結果を受けての衆院選で勝利して政権に就いたものであり、今夏の都議選でも当初有利を伝えられながら自民、公明側が都議会の過半数を確保できずに都民ファーストの会の善戦にもあって事実上の敗北感を味わっている。

 (4)何やら09年民主党政権誕生と同じ経路、政治構図がみえてきて、そうでなくとも今秋までには行われる衆院選は与党には厳しい向かい風の選挙が予想されている。与党にとって唯一の救いは当時と違って野党に代われる政権担当能力がみられないことだ。

 自民党幹部は横浜市長選敗北が国政に反映することはないと強気の姿勢をみせているが、むしろ菅首相、総裁では衆院選を乗り切れないとする党内混乱、地方組織からの身内からの反発を招く恐れだ。

 (5)菅首相は二階幹事長に党内5派閥の支持をとりつけて、閣僚からも菅首相支持の声も出て万全の再選体制を固めており、これが菅内閣支持率の低落、横浜市長選敗北結果の国民、市民の政治評価、感覚とのズレの大きさが露見して、09年に起きたことが21年にも起きるきざしをつくる、歴史はくり返す可能性は考えられる。

 (6)現在の政治状況は自民党1強時代で、問題は多く抱えながらも危機感は自民党にも国民にも感じられない。政治はあきらかに後退して堕落し、自民党の長老支配政治は復活して派閥政治力学で支配されて、一時は政治家定年制も志向されたが若手の台頭もなくなし崩しになり、今回の衆院選は長老議員の引退が目につき、議員の首長選への転出も最近の傾向となり、政界図が変われる契機となる機会だ。

 (7)歴史はくり返すものだが、いつまでもそうであっていいというものでもない。あたらしい歴史をつくる覚悟(preparedness of a new history)、ダイナミズム(dynamism)がなければ、もちろん未来はみえてこない。

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妙な寂寥感の夏。 summer of a feeling of a strange lonliness

2021-08-23 20:06:46 | 日記
 (1)8月というのは日本では過去に印象深い大きな事件が続いて、そこに盆という季節感があり心にポッカリと空白のある寂寥(せきりょう)感を感じることがある。今年のように8月というのに梅雨末期のような長雨が続いている時にはうっとうしさもあってあまり感じないが、その中でも時たま薄日がこぼれる日には妙な寂寥感(a feeling of a strange lonliness)がただようことがある。

 (2)今年のようにコロナ感染拡大で外出もままならない時を過ごしており、家にいる時間が長いので、久しぶりに陽に照らされた外の静かな樹木のたたずまいを見ているとことさらにそう感じることがある。静かな時間が流れている。

 (3)ひとたび社会、世界に目を向けてみると、気候変動化で大雨洪水被害が日本、ドイツを同じように襲って、ギリシャでは40度後半の記録的な高温でトルコでは山火事が発生して、豪州でも深刻な山火事被害が続いている。

 米軍が撤収を開始したアフガンでは旧支配勢力イスラム主義組織のタリバンが首都カブールを無血解放して制圧し、報復を恐れる大勢の市民らが国外脱出を求めて米軍が警護する空港に殺到して混乱が起きている。

 (4)どこもとても寂寥感などではない激動の暑い8月だ。7月23日開幕の東京五輪もコロナパンデミックの中で何事もなかったかのように世界からアスリートたちがやってきて、各種競技に圧倒的なパフォーマンスをくりひろげて、そういうコロナ感染拡大で開催有無が政治、社会問題となった東京には行かないというトップアスリートの声は一部にはあったが大きくはならなかった。

 (5)現在の日本は専門家が危惧したように東京五輪と歩調を合わせるように全国的な感染急拡大をみせて政府の打つ手がみあたらずに、専門家からは外出、移動の自粛の「お願い」ではなく法的規制、罰則による強い対策を求める声が強まっている。

 海外例ではロックダウン(都市封鎖)でも感染拡大した事例もあり、日本では8月24日から東京パラリンピックも開催されて無観客開催決定とはいえ社会的に強い法的規制、罰則対策も取りにくい社会情勢にある。

 (6)感染拡大阻止のコロナ対策は、先々に原因、状況、背景を読む、分析、検証することが必要で、政府の後手後手対策で巡り合わせの悪さばかり引き出している。この今の妙な寂寥感は何なのか、何に由来するものかはわからないが、9月には自民党総裁選が控えており国民には直接手出しはできないこれからの国のあり方を決める重要なひとつの政治日程であり、そのむなしさか横浜市長選では菅首相が支援する前閣僚の腹心候補者が大敗北する結果で、追って行われる衆院選では国民の判断、審判の出番だ。

 (7)国、国民は落ちるところまで来たと書いたが、多くの国民はこのままでいいとは思っていないはずだ。

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みずほの代から。 from a time of Mizuho

2021-08-21 20:17:01 | 日記
 (1)みずほ銀行が今年5回目のシステム障害を引き起こした。これだけひんぱんに自分のカネの出し入れに支障のある銀行に顧客がいつまでもついているというのも不思議で、何かいいこともあるのだろうがこれがみずほ銀行の根源的な出直し改革に向かわない甘い、なれ合い企業体質を生んでいる。

 (2)5回目と聞いてすぐに浮かぶのが、政府のコロナ対策での4回目の緊急事態宣言の発出で、コロナ感染拡大のたびに緊急事態宣言は出すが人の流れ、飲食店の営業は抑えきれずに感染拡大が続き、こちらの方も顧客の国民は取引政府を「おさらば」したいところだが変われる(野党)ところも見当たらずにみずほ構図と同じだ。

 (3)政府がこうだから銀行もこうなのか、銀行もこうだから政府もこうだというべきか、日本的体質のひずみ、歪み、甘さ、なれ合い、クラックが同じ構図で露出している。
 今年5度目のシステム障害で経営責任を問われたみずほFG社長は「さらに強固な再発防止策にする必要があり、しっかり進めるのが責任のあり方だ」(報道)として自らの手での再発防止を進める意向を示したが、これも政府のコロナ対策での対応の遅れ、失言の責任をおわび、謝罪だけですまして誰も責任をとらない体質と同じ構図だ。

 (4)これだけではない。日本の経済をけん引している主要企業で30年以上も前からやりもしない検査不正、データねつ造がなされていたことがあきらかになり、基幹産業の自動車産業世界トップクラスのトヨタまでがそうだったと知って日本的体質の甘さ、歪み、ひずみ、なれ合い体質が一気にふきだした。

 (5)日本的体質というのは、儒教思想に根差した父権優位社会で父親、男性は外で仕事をして収入で家庭を支えて、母親、女性は家事で家庭を支えて、家庭内での役割分担がはっきりしている単細胞社会構造だ。

 家庭では収入源の父親、男性が絶対的権力を持ち、母親、女性は服従する献身的な立場、存在でしかない。かといって、父親、男性は家庭のことは母親、女性にすべてあずけて、まかせているので家庭で起きることには無頓着で問題が起きると母親、女性の責任ばかり指摘するという強権体質だ。

 (6)今日的多様性社会ではあまり見かけない家庭像であるが、経済社会、企業経営ではまだまだ本流であり、そのひずみ、歪み、なれ合い、クラックが社会意識、思想の変化の中で露出してきている。
 日本、小市民的意識(the petite bourgeoisie)の国民は、どうやら落ちるところまで来ているようだ。

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若い閣僚のエネルギー論。 ‘energy’ theory of young ministers

2021-08-20 20:17:51 | 日記
 (1)何か少しでもいいことがないかと紙面をみつめるが、暗いニュースばかりでこれではいけない。国、政府は国民の生命、安全、財産、権利を守る必要、責務があるが、コロナ・パンデミックの異変性社会とはいえパラドックス(paradox)としてそうだからこそ、こういう時に国民の生命、安全をより積極的に守らなければならない。

 (2)全国的にコロナ感染急激拡大で、都内では3週間で救急要請の6割(報道)が病院に搬送されずに自宅療養のまま亡くなるというケースや妊娠中の女性の受け入れ先医療機関がみつからずに早産の上、乳児が亡くなるという出来事(同)があった。
 ともに重点対策が準備、整備されていれば救える命であっただけに、国、政府、都の責任は重い。

 (3)政府はエネルギー基本計画を改定した。そこでこれは少しはいいニュース、これまでは原発再稼働をベースロード電源として原子力を「最大限活用」するとしていたものを、政府の骨太方針では原子力の最大限活用の記載が削除されて「再生エネ最優先」が初めて盛り込まれた。

 これを積極的に推進したのが、比較若い再生エネ推進役の小泉環境相(40)と脱原発が信条の河野規制改革相(58)といわれる。小泉環境相は骨太方針に原子力を最大限活用の文言を削除し、再生エネ最優先を盛り込まなければ閣議署名しないと決断を迫り、実現に向かわせた(報道)。

 (4)世界はすでに原発から再生可能エネルギーへの転換政策を進めており、日本は経済界の強い後押しもあって原発依存性から脱却できずに再生可能エネルギー転換整備が遅れている。こうした政府の姿勢に対して、比較若い閣僚が「再生エネ最優先」のエネルギー基本計画に向かわせたのは未来志向社会としても大きな意味がある。

 (5)若者世代は自らの将来社会に対して現実志向責任が強く、実際に長老支配の菅政権、自民党執行部体制の中でその若い閣僚が原子力の最大限活用から再生エネ最優先に動いて実現に向かわせた意義は日本の政治体質を変える意味でも大きい節目だ。

 若い力、閣僚はもちろん国民生活の安定したエネルギー政策、策定にも大きな責任をもつことになり、具体的な計画実現の工程表を示して政治をリードすることも求められて必要だ。

 

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