ワケわからんかったけど、めちゃくちゃ良かったし面白かった!
差別発言をするつもりはないことを前提に感じたことを書きます。
観終えたあとに浮かんできた言葉が、望郷でした。
Twitterで、この作品は、兄妹の肉体的片割れを求めあった愛の物語と書かれているのを読んで、めちゃくちゃ興味深く新しい劇場に来ましたが、
私が感じたのは、ぶっちゃけ書きますが、在日韓国人や朝鮮人は、戦時中強制連行で日本に連れてこられて働かさせられ、今よりももっと酷い差別を受けてきた歴史があり、
日本人もまた満州に移住して、戦後戻ってきたり、またソ連の捕虜になったり、
日本兵も遠いシベリアに出兵したり(第一次世界大戦時)や東南アジア(太平洋戦争時)に送られて、どれだけの人が生還出来たか、祖国に戻ることができたのかは想像し難いものがある。
親兄弟親戚と離れ離れにならなくてはいけなくなったり、飢えや苦しみに耐えながらも祖国に戻ることを切望したり、祖国を憂う気持ち家族を想う気持ちがこの作品の裏テーマかな?と思いました。
色んな事情があるといえども、子供を身ごもっても中絶したり、性と生を軽んじている状況があったり、愛に対して不誠実であったり、といったマイナス状況を憂んでいるのも感じたし、
逆に、役者陣のエネルギーから、貧しくても強く生きるんや!といったパワーを貰った感じ。
表テーマは…、
ぶっちゃけ、分からん!
m(__)m
唐作品は、野田作品と違って、沢山のエレメントが散りばめても収束することないからね。放りっぱなし。答えは分からない。
主人公の兄妹の関係性があまりにも特殊で、夢の中の物語なのか、パラレルワールドの出来事なのか、単なる健忘症なのか、分からない。
確かに兄の身体の中に妹の髪の毛が入っていた。夢の中でもパラレルワールドでも兄と妹は一心同体であった。
妹は、子供を妊娠しないために子宮をガラスに替えて妊娠しない身体になっている。これは世相的に墮胎する人が多い世の中に対する妹の反骨的意味合いが含まれている。
妹自身ガラス細工のように繊細で、他のガラスが割れる度に自身に共鳴して心が壊れていく。
妹はガラス工場で働いて、作業中にガラスと指がくっついてしまい、指とガラスの見分けがつかなくて指3本失う。失った指はガラスと一緒にキラキラ輝きながら砕け散った。そして、妹はその工場の社長と結婚を控えていた。妹の身体はガラス細工化していく。
一方兄は、お腹の痛みで入院。お腹から出てきた髪の毛を取り除く手術をするか、親友かどうかも分からない友人に決断を迫られるとこから物語が始まり、その親友には恋人がいる。
髪の毛を取り除く手術をした時、タイムワープして過去に遡る。またはパラレルワールドに行ってしまう。
兄は妹を見つけ一緒にここ(妹の住まい、または世界)から出ようとするが、妹は社長との結婚を控えているので決断し難い。その社長は一癖も二癖もキャラが強く、意地でも未来の花嫁を奪われないようにあの手この手を使うが、兄の策略に騙され妹は兄とともに去ろうとする。
だか、ガラスのコップか何かが壊れるたびに妹の身体も心も崩壊しかけ、まさに兄の身体と妹の身体が一心同体になったとき、最初のシーンの手術のシーンに戻る。
パラレルワールドでは、社長と秘書的存在が、現代では赤ちゃんと看護師になっている。
ここから、兄と妹、親友とその恋人の四角関係バトルが始まり、親友は妹(兄の分身的存在)と恋人のどちらを選ぶか選択を迫られる。一見、同性愛にも見える関係に恋人が焼きもちを焼く。兄は兄で妹のことは知らないと言っている。ワケわからんバトルが繰り広げられ、ガラスのビー玉が雨のように洪水のように流れてきて終わり。
途中うろ覚えで適当なことを書いて、そんなシーンないよ!的なことも書いていますが、
兄と妹の逃避行(一心同体になる)するまでの物語の中に、今から極寒の戦地へ赴く兵士のシーンや乞食たちの物乞いのシーンがあったりと、まさにカオス絵巻状態。
唐さんは何を描きたいのかはさっぱり分からないけど、最初に書いた望郷という単語だけが見終えたあとに脳内に降りてきた。
なんせカオス絵巻状態だから私の脳内イマジネーションがフル回転しまくっていたから全く飽きずに睡魔に襲われることなく楽しく拝見させてもらいました。
ということで、新宿に出来た新しい劇場、THEATER MILANO-Za に行ってきました。
初めてのTHEATER MILANO-Zaは、とてもオシャレな空間でしたが、座席がね…。それをネタにした六平さん最高だった。
本来は、テントで上演するような内容だから、 MILANO-Zaという広くてオシャレな空間にはそぐわないんだけども、そこはプロジェクトマッピングや音響システムを多様して令和風に演出はされていましたが、
個人的には、もっと小さな劇場で最新の技術なしの泥臭い雰囲気の中で観たかった。だからといってテント小屋だと、地べた座りでの観劇になるので、もう腰が痛くなって観ることが出来ないんだけどね。
関ジャニ∞の安田章大君のストイックな役作りも素晴らしかった。
たまたま「ボクらの時代」を見逃し配信で見た時のストイックさや芝居好きなのが伝わってきて、関ジャニ∞ってヤンチャ兄ちゃんの集団だと思っていましたが、安田君のストイック発言に感動。ますます観たくなった。
脳腫瘍摘出手術をしたことを忘れてしまうくらい、唐作品の住人になってた。そもそも関ジャニ∞だということも忘れてた。
ロン毛も汗で濡れ、一見ストイックでクールそうに見えるけども、その汗から内なる炎が燃えたぎっているように感じた。
ぶっちゃけ、ゲネのショート映像を観たときは、ロン毛がウ〜ンと思ったけど生はカッコ良かった!
カーテンコールでのまるで納得出来なかったかのような不満気な表情が、客席スタベで表情が緩んだのを拝見して、おそらく客席が座ったままだったのが悔しかったんだと推察。
りえちゃんの「泥人魚」では、清く正しく美しくがモットーの宝塚の元娘役トップスターのチャピが見事に殻を破った素晴らしい表現力でしたが、
ゆうみちゃんも殻を破った素晴らしい表現力でした。「NINE」の時も感じたけど、めちゃくちゃヒロインスターオーラが半端ないのに、壊れた演技や大胆表現がめちゃくちゃ素晴らしかった!
ゆうみちゃんも完全に唐組の住民だった。ゆうみちゃんの可憐さがよりカオスな世界観を引き立ててた。なんせギャップが最高だった。ゆうみちゃんを人選した方センスある!
アンサンブルの方も含め役者陣の表現力やお芝居力が凄くて、特に風間杜夫さん、六平直政さんの大御所の高齢者捨て身パワーに感動!
風間さんって、正当なお芝居をされる印象が強かったのに、アングラ俳優さんだったっけ?と思ってしまうくらい唐作品の重鎮になってるし、六平さんは悪役のイメージが強いのに
めちゃお茶目だわで、そのギャップが好き。
三宅弘城さんと桑原裕子さんのアングラ色の強いキャラ設定であったり、捨て身の演技だったり、ファンサービスが素晴らしい。
ダチョウ倶楽部の肥後克広さんもめちゃくちゃ良くて、六平さんとの掛け合いや間といったコンビネーションが素晴らしく、分けわからん作品の中の唯一の清涼剤的な存在でした。本来は戯曲には登場しない人物なのでは?オリジナルキャラクター?と思うくらい主人公2人やストーリーに直接絡んでこないのですが、お二人ともアドリブで客席を楽しませてくれていて、そのサービス精神に感動しました。めちゃくちゃ笑わせてもらいました。
アングラ好きには堪らん捨て身お芝居に感動しました。
役者陣の唐作品へのエネルギーには、貧しいながらでも精一杯生きろ!楽しんで生きるんや!といったポジティブ気持ちがめちゃくちゃ伝わってきました。
本当にワケわからんけど面白かった。
行きはいつもの如く安い夜行バスを使用したんですが、いつもなら3時間は眠れるはずなのにその日は一睡も出来ず、このままだと観劇中寝てしまう!ヤバい!と思って、観劇時間までネットカフェに行って約四時間滞在して2時間は眠ることが出来て劇場に向かったわけです。
それでも2時間だけの睡眠でも寝てしまうかも…お金が勿体なあな~と思っていましたが、有り難いことに全くの杞憂でした。
本当に退屈することなく、睡魔にも襲われることなく、刺激をいっぱいもらいました!
私にとって唐作品の魅力って、
私自身、ラースファンだから、言葉が悪いですが、キチガイと変わらないので、唐作品に登場する人物の狂気は、ラース作品の魂を売った狂気の表現とは異なり、精神疾患者というより精神異常者という言葉がピッタリなくらい、ただの狂気ではない、狂喜が乱舞するくらいのカオスさがあって、そこが最高に好き!やっぱアングラ演劇最高やわ!って思う。寺山修司作品も堪らん!
私の歴史においては、宝塚で演劇世界に目覚め、そこから商業演劇やミュージカルを観るようになり、蜷川作品や野田作品の出会いからアングラ演劇にハマっていき、小劇場作品を観るようになり、古典芸能にも観始め、ワーグナーをきっかけにオペラも観つつあるという流れの中で、今現在は全部のカテゴリーを観てるというまさに私自身がカオス状態になってる。流石にバレエだけは好きにならないだろね。宝塚のショーみたいな感じだから…m(__)m
どのカテゴリーにも共通しているのが、生の舞台であること。TVに出られているような方々の演技や姿を生で拝見できること。
やはり、この生観劇という醍醐味は癖になってやめられない。
どんなに素晴らしいと評判の舞台作品でも、映像で観るのとTVで観るのとでは雲泥の差。私の場合、TV中継だと最後まで観れないケースが多い。TV中継で面白いなら、生観劇だともっと面白い。それが蜷川作品と野田作品なんだけどね。
どちらもNHKの舞台中継でどハマリした。蜷川作品は平幹二朗さんの存在が1番大きい。平さんから蜷川作品にハマった感じ。平さんのドラキュラ役をNHKで観てファンになった。太地喜和子さんとの心中ものもTVで観た記憶がある。「近松心中物語」ではなかったはず。今調べたら「藤十郎とお梶」でした。鵜山さんの演出だったよ!
野田さんは、斉藤由貴さんの「から騒ぎ」が最初の出会い。しのぶさんの「真夏の夜の夢」は超衝撃作品だった。大袈裟に書くと雷が落ちた感じ。