1.5日まるごと「ムーラン・ルージュ」三昧

2023-08-24 23:36:00 | ミュージカル
まだ8月ですが、間接的ニコールイヤーの大トリ(今年はもうニコール関連作品はないはず)、私がニコールファンになるきっかけになった「ムーラン・ルージュ」のミュージカル版を、東京一泊して3回も観てきました。

最初に本命のキャスティングだけ購入していたのですが、他のキャスティングや組み合わせにも興味が湧いてきたので、まだチケットが余っている時に付け足していったら3公演になってしまいました。

確かにチケット代は高い。私は3公演ともB席しか買う勇気はなかった。ま、私にはB席で十分だったけど…。

飛行機に乗ってブロードウェイで観ることを思えば安い!わざわざ日本で上演してくれてありがとうございます!と感謝するしか…。

そう、安い!日本で上演してくれてありがとう!と自分に言い聞かせるしかなかった。アメリカに行かずに済んで良かった!と思うしかなかった。(本場ブロードウェイで観たいと思ってた)

はい、正直に書きます。

3回も観る必要はなかった!

ぶっちゃけ、1公演だと不満足。本命公演だけだと不十分。やはり3公演観るしかなかったと今では思ってます。

ということで、3公演観ないと分からないことや気付きもあったので、感じたことをそのまま書いてます。

気を悪くされたらごめんなさい。最初に謝っておきます。

1回目


キャスティングには全く文句はありません。メインもアンサンブルも素晴らしい!

日本語歌詞も全く文句ありません。マイキーワードを何度も連発してくれてありがとう!と思ったほど。

劇場に入った瞬間に聞こえてくるアンニュイなメロディー、

場内に入った時に飛び込んでくるムーラン・ルージュの世界観を表現した豪華絢爛な美術と妖しい照明に目を奪われる。それだけで十分チケット代は安い!と思った。

を前提にぶっちゃけ書きます。

私に潤色させろ!!!

(笑)

ぶっちゃけ、ブロードウェイ版のサントラを聞いた時から選曲に不満がありました。

実際の舞台は、やはり選曲がイマイチだった。

選曲は百歩譲ってよしとしましょう。

ですが、脚本構成が全くもって納得いかない。

なんでサティーンが登場する最初のクライマックス直前でクリスチャンのボヘミアン芸術仲間との出会いの回想シーンをもってくる必要があったの?

出会いのシーンから始めても良かったんじゃないの?そこからあの派手なプロローグでも良くないかい?

デュークの扱い方も、なんでラストの名シーンの引き立て役として出さなかったの?

ラストの劇中劇のシーンにデュークを登場させることができたはずやで。なんであのままサティーンを昇天させるん?

わざわざ台詞で、ロートレックにクリスチャンが演じるはずの役の代役にさせたのなら、その登場シーン見せてから、クリスチャンを登場させても良かったんじゃないの?

昇天する前にデュークとの一悶着シーンは絶対必要だったと思うよ。

♪Come what may♪より♪your song♪の方がキーソングになってたのも腑に落ちない。

そもそも、なんでクリスチャンをわざわざストーリーテラーにする必要性かあったの?なぜ説明させたの?

サンティアゴとミミの恋物語いるか?♪ロクサーヌ♪で二人の関係を匂わせとけば良かったんちゃうん?ま、百歩譲ってこのシーンもよしとしよう。でも、わざわざクリスチャンに前説させる必要あるか?

クライマックスや見せ場(ダンスシーンを除く)をちゃんと盛り上がるように見せてや…

余計なシーンや台詞が多くて、必要なシーンがないのはなんでなん?

ニコールファンだから、映画ファンだから文句が言いたいんじゃなくて、

ま、映画ファンだからもっと映画を尊重しろよ!とは言いたいが、

作品としてちゃんと構成しろよ!と言いたいだけ。

映画作品をミュージカル化した、私が知る限りでは「キンキーブーツ」「ゴースト」「ボディーガード」「ライオンキング」「美女と野獣」「ビリー・エリオット」「グリース」「フットルース」等々、ひょっとしたら「ファントム」も(最初はドラマ版だったはず)、はちゃんと映画作品をちゃんとリスペクトした構成になってる。

なのに、「ムーラン・ルージュ」は、ほぼ違う作品やん!?

いやー、マジないわー。


早い話が、私を泣かせてくれたらそれでいいんです。

所々ウルッときたけど、ラストで完全に冷めてもうた。

完全に映画版を踏襲しなくても、感情を高揚させる見せ方があるはずやん。映画版だと特にラストのデュークの存在。作品の軸をうねらすキーパーソンはデュークやのに、全然生かされてないやん。

もっと物語重視のエンターテイメント性に溢れた作品にできるはずなのに、なんでストーリーをないがしろにしたのか疑問でしか出てこない。

選曲も、なんで映画と同じ曲を使わなかったのか?著作権の問題か?

これ、ほんまに、バス・ラーマン、納得したの???あ、日本版じゃなくて、ミュージカル作品としてね。

あー、マジ納得いかんことだらけ。

って思ったのは私だけ???


2回目


さすが井上君!

いやいやいやいやいやいやいやいや

客席め含め、帝劇の空間独り占めしてるやん!

間違いなく井上君ファンが多くいらしゃったと推察しますが、盛り上がり方が半端ない!

それはファンが勝手に盛り上がっているんじゃなくて、朝男さん、もとい松村雄基さん演じるデューク率いるムーランルージュのアンサンブルの方々のパワーも一回目と比べものにならないくらいパワフルになっていて、プロローグから高揚感が増していて、完全に私のハートを掴まれてしまった。

ぶっちゃけ、井上君がクリスチャンと知ったときは、えっ歳が…とうが…と思ってましたが、m(__)m

いやいやいやいやいやいや、

決して若作りしているわけじゃないのに、純粋な青年像を基調に(若さ溢れる)エネルギッシュなクリスチャン像だったので、あまりにも違和感を払拭させる役作りが逆に、あのミュージカル「ムーラン・ルージュ」の世界観にピッタリだった。

井上クリスチャンを観て思ったのは、甲斐翔真君はリアルクリスチャン役としてめちゃくちゃ良かったしイメージにピッタリではあったんだけど、人物像がリアルだったから逆に脚本のアラがめちゃくちゃ目立ったんだと思った。

翔真クリスチャンだと作品を物語として観てしまったから、映画版に寄せた脚本を追求したくなったんだと思う。

翔真君同様にK君演じるデュークも厭らしさ憎さ満載で素晴らしいデューク像だったので、余計映画寄りの脚本を期待せざるを得なかった。

井上君の場合は、完全にエンターテイメント作品として観てた。ストーリーはぶっちゃけ二の次。一回目が嘘なくらい全てがパワフルだったから、その圧力に圧倒されて根負けした感じ。

井上君をべた褒めしてますが、翔真クリスチャンにはウルッとくるシーンが何回かあったけど、井上クリスチャンには皆無でした。とだけは書いておきます。

本場ブロードウェイもエンターテイメント寄りで作られたんだと想像しうる。

物語として観たら、映画と全然ちゃうやん!?と言いたくなる。

ぶっちゃけさ、井上クリスチャン版は、脚本がイマイチでもキャスト陣に演技力や表現力、そしてエネルギーがあれば、アラが目立たなくなるいい例だと思った。

いくら2回目でも、全く違う作品を観てる感覚だった。

一回目に書いたツッコミどころがほぼ気にならなかった。

っていうか、期待していたキャストと期待してなかったキャストのギャップにやられた。

ぶっちゃけ、正直に書いて申し訳ないですが、全く期待していなかったデューク役のK君とジドラー役の松村雄基さんがめちゃくちゃ良かった。逆に期待していたダブルキャストの伊礼君とさとしさんが普通だったのが残念だった。

K君のデュークの役作りが憎々しさ満載の役作りだったから、余計ラストシーンにデュークに出て欲しいと思ってしまった。

逆に伊礼君は、あまり憎々しさがないデュークだったからラストシーンは、完全に井上君と平原綾香さんの二人の世界観に引きずり込まれた。

井上君のクリスチャンとK君のデュークの組み合わせだったら、ラストシーンはどう感じるのかめちゃくちゃ確かめたくなったよ。残念ながらもう観れないけど。

もうさ、大木さん、もとい松村さんのジドラーがめちゃくちゃジドラーだった。ロミジュリでのパパ役が嘘みたいに、ミュージカル何十本も出ましたと言わんばかりの、あの広い帝劇の空間に負けないアピール力と存在感に釘付けでした。

ぶっちゃけ、松村さんがシドラーで大丈夫?周りのキャストに埋もれないか心配でしたが、全くの杞憂だった。まさかこんなに化けるなんて想像もしなかった。めちゃくちゃ良かった!キャスティングされた東宝さんの先見の明に感服。

こんなこと書いたら失礼だけど、伊礼君もさとしさんも相方さんに花を持たせた感が否めない。

伊礼君ならもとニヒルな悪役を演じられたはずだし、さとしさんもアドリブ利かせてファンサービスいっぱいしただろうし、二人とも控えめな印象。

でもね、伊礼君に関してはあのアプローチのお蔭でサティーンとクリスチャンのラブストーリーに集中できたんだけどね。

1回目は、私なら、あ〜したのに!こ〜したのに!と思いながら観てたのに、

2回目は、井上君の客席を虜にする魔法をかけまくっていただけでなく、客席もダンサーやアンサンブルの方々のパワーがみなぎっていて、そのパワーに捻じ伏せられたね。

そして、平原綾香さんのサティーンは、井上君の時も翔真君の時も異なってる印象はなかった。圧倒的な美貌を持つスターオーラは、正直元タカラジェンヌでも敵わないと思った。歌声はもちろんのこと存在感もパワフルだし、なによりサティーンとして懸命に生きている姿に感動した。

綾香さんの出演舞台は、ミュージカル「北斗の拳」のユリア役を観させてもらいましたが、その時も歌声が素晴らしかった。演技に関しては、ダブルキャストの相方さんの方が良かったのですが、

サティーンに関しては、2幕目の病魔に襲われている時の焦燥感やクリスチャンを想う気持ちや拒絶したあとの悲壮感がリアルに表現されていて本当に良かった。きっと映画版をリアルタイムで観られたのかな?私と同じように思い入れが強いのかと思うくらい、焦燥感や悲壮感にめちゃくちゃ心を奪われた。

映画版で、ニコールが、クリスチャンに会いたいけど、会ったらクリスチャンが殺されてしまう。彼から逃げなくては。結核で呼吸が苦しいながらも、愛するが故に懸命にクリスチャンから逃げようとする、あの表現でニコールファンになったので、

綾香さんにはそれに近い表現を感じたので本当に素晴らしかった。まさしく映画の中のサティーンそのものだった。脚本はイマイチだったけども!

ただ、歌声がかなりパワフルで綾香節(ビブラート)が際立っていたので若干違和感があったのは否めない。正直、もう少し繊細さが欲しかったかな。病魔に襲われている云々は抜きにしてもね。でも、サティーンとしての表現力は文句なく素晴らしかった!

2回目は、ほんま余計なことを考える余地がないくらいエンタメ作品として楽しめました。


3回目


私が1番観たかったキャスティング。

ダイモンのサティーン、翔真君のクリスチャン、松村さんのジドラー、伊礼君のデューク。

3回目を観て思ったこと…、

やっぱり、潤色したい!もっと感動できる展開にしたい!ちゃんと物語として、かつエンターテイメント作品として昇華させたい。

私を泣かさせろ!!

だった。

綾香サティーンの圧倒的貫禄と存在感を目の当たりにしてしまったら、ダイモンのサティーンは線が細過ぎて、声も弱く、体調不良をまだ引きずっている印象を受けざるをえなかった。

本来のダイモンはもっとパワフルなはず。「Into the woods」「GUYS&DOLLS」の歌唱力や表現力は主役を食う勢いがあった。

いずれにせよ、ダイモンの演技力ですら、綾香サティーンの貫禄には敵わなったご様子。色んな意味で綾香サティーンが凄かった。比較して申し訳ないけど。

やはり、3回目は、全体的に1回目と印象が変わらなかった。どんなに客席がヒーバーしていてもね。やはりストーリー展開が気になって仕方なかった。


3回観て思ったのは、やはり井上君のただ者でない感がめちゃくちゃ伝わってきた。

ファンを味方に付けるって凄いことだと思うし。あの客席の支配力は魔法にかけられてる感覚だった。

こんなこと書かなくてもいいけど…、

ワタクシ、井上君のファンじゃないけど、

「GUYS〜」のスカイ役もしかり、私の井上君に対するマイナスイメージを軽く払拭してくる素晴らしい表現力と空間支配力は、もはや、ミュージカル界のプリンスではなくキングとしか言いようがない。昔からだったけども、今の日本のミュージカル界を引っ張る第一人者は井上君だと言わざるを得ない。

そういう意味では、翔真君はいい勉強になったと思う。


もうこれ以上は書きませんが、

公演が始まった当初はチケットが余っていたのに、気付いたら完売になったことは本当に素晴らしい。それは、間違いなくキャスト陣のたゆまぬ努力の結果です。

キャスト陣は本当に素晴らしいんだよ!



私に潤色させろ!

(笑)