「もう、数ヶ月前の話ですが、宮城県出身のお笑いタレント・狩野英孝の父親が亡くなりましたね。確か60歳だったと思います。」って、先日と同じ文章からスタートします。
何故なら前回、このお題で書いていたのですが、途中で脱線してタイトルを変えてしまったのです。まあこんなだから、あっち行ったり、こっち行ったりの文章になる訳です。ホント困ったもんです。
さて狩野英孝のお父上、ちょっと前までテレビに出ていました。ピンピンしてました。何故、お亡くなりになったのでしょう。
まだ60歳です。若いです。急に病気になったのか、事故だったのか。これは多分、発表される事は無いと思います。何故なら神職は失敗が許されない生き方を貫かねばならんからです。
これは今から25年前の話です。神職をしている私の友人から電話がありました。「バイクの免許取りたいから、私のバイクを運転させてくれ」と言う話でした。
私は二つ返事でOKし、当時乗っていたホンダ・FTR250と言うバイクで彼の神社に向かい、彼に丁寧に教えた訳です。
彼は私とは違い、中々センスがある男で、すぐ乗りこなせる様になりました。中型自動2輪の免許取るのに半年かかった不器用な私とは大違いです。これで金持ちの彼なら直ぐ様免許を取りに行って、400ccのバイク買うのだろうなぁーと思いましたよ。
しかし彼は「バイクって危ないなぁー」と一言。「そりゃクルマとは違って身体むき出しで走る訳だから危ないよ」と私。
彼は暫く熟考してから一言。「バイクは危ないから、免許取るの止める」と。
私は「エッ」って思いましたね。こんなに丁寧に教えたのに。バイクの教習所の教官なんて、威張り腐って教える訳です。そんな嫌な思いをした私は、本当に親切丁寧に教えた訳です。それなのにバイクの免許取るの止めると言い出すとは思いもよりませんでした。それにバイクが危ないのは子供だって初めから分かる話です。理由が分かりません。何考えているんだと思いましたね。
「えっ、どうして」と訪ねて、彼は口ごもっていました。そして暫くして一言。「バイクで事故起こしたら、家業に差し障りがある」と言うのです。
「ああ、なるほど。そりゃ、そうだな」と私は納得しました。
彼の家は神社です。交通安全のお守りも売っていますし、クルマの祈祷もしています。それなのにバイクで事故でも起こしたりしたら、神社の威信に関わります。
氏子さん達の信頼もなくすでしょうし、下衆な話、商売上でも大変都合の悪い話になっちゃいます。そりゃ、私もバイクは運転しない方が良いだろうと思いましたわ。
そう言えば私もそうですが、彼は中学からプロテスタントの学校に通っています。家が神社やっているのにです。彼には二人の姉がいますが、姉たちも中学からプロテスタントの女学校へ通っています。
私ね、前々から神社の息子としてのポリシーは無いのかと思っていたんですが、それで分かりました。神社では学業成就のお守りも売っています。祈祷もしています。それなのに神社の息子が受験で失敗したとあっては、こりゃ大変な事になります。祀られている神様の顔に泥を塗る事になりますから。
うーん、これって中々大変な生き方の様に思います。失敗だらけの人生送っている私から見れば。ホント私が神社の神主してたら、その神社、潰れちゃうなぁーと私でさえ思いましたわ。
そんな訳で狩野英孝のお父上の死因も永久に伏せられるのだと思います。親族の人達も大変ですよ。
狩野英孝がテレビのドッキリで嬉々として騙されたり失敗しているシーンを見ますと、神社の息子として生きて来たその反動でお笑いの道に進んだのではないかと思います。
彼にとってはそれが幸せなんだと思いましたね。
ではでは。