続きです。
二人目の信者はTさんです。私の家では新聞販売業を営んでましたが、うちの店で働いていた方です。
最初に出会った時はTさんが40歳頃でしょうか。Tさんは製本所を経営していたそうです。トラックも5台所有していたと言うから、中々繁盛していたのだと思います。子供も二人いると聞いています。幸せに暮らしてたと思います。
そのTさんも某宗教団体の信者でした。最終的に会社も自宅も手放して、全財産を寄付してしまいます。勿論、某宗教団体にです。
結果、家庭崩壊。離婚です。幸せを寄付したTさんは、精神を病みました。そして新聞販売業を営んでいた私の家に来たのです。「給料は10万円でいいから雇って欲しい」と言って。
この話、30年以上前の話ですが、勿論、Tさんへの給料は30万円近く払っていました。新聞販売業は典型的な3Kの仕事で、当時は超人手不足でしたからね。
それ以上にTさんは真面目で仕事も出来る。人柄も素晴らしい。販売店の従業員としては稀有な人です。うちの店も良い人が入って大変助かりました。
そして数年働きTさんは退職。新聞販売店の従業員など長く続けるものではないですから、仕方がありません。大変残念でしたが・・・・・・・・。
しかし、それからまた数年後、Tさんが「また働かせて欲しい」と舞い戻ります。勿論、二つ返事でOK。しかし、Tさんは最初会った時より沈んだ感じがしてました。
それでもTさんは真面目です。よく働いていました。そして或る日、某宗教団体の集会が富士山の裾野であるとかで、一週間の休みが欲しいと言ってきたんです。
新聞販売店は従業員に休まれると大変困るのですが、信仰の問題ですからね。行くなとは言えません。大変でしたが行かせました。
そして集会から戻って来た。何かおかしい。変にニコニコしている。
私の母親が「なんだTさん、にこらにこらして。富士山に行ってご利益でもあったかい」と聞くも、ニコニコしているだけです。明らかにおかしい。どうしたのかと思ったその日の夜、事件が起きます。Tさんが傷害事件を起こしたのです。
何とTさん、サウナで発狂し、お年寄りを半殺しにしてしまったんです。お年よりは手や足、そして肋骨も折られました。重症です。Tさんは警察に捕まりました。
私の両親が警察に面会に行きました。そして見ました。正気を失ったTさんの姿を。
警察の話によると、Tさんは何時も精神安定剤を毎日服用していたようです。そして某宗教団体の集会に行くとき、その精神安定剤を忘れて持って行かなかった。それが原因で正気を失ったとの事でした。
Tさんはその後、精神病院へ入院。二度と正気を取り戻す事はありませんでした。
某宗教団体に出会ったせいで、家族も財産も、そして心も失った。何もかも失いました。これが宗教なのでしょうか。
続く。