続きます。
不動産屋からの電話から二日後、201号室の介護職男と不動産屋、そして私の三人で会う事に。
介護職男の言う事には、「深夜に202号室の凶相男が木刀持って怒鳴り込んできた。何を言っているのか分からないが、怒鳴りまくっている。自分は介護職だから経験があるが、あの凶相男は狂っている。狂っているから平謝りで事無きをえた。現在は友達の家に泊まっている」との事でした。
「202の凶相男は、貴方がアル中で一人で夜中に騒いでいると言っていたが」と尋ねたが、介護職男は酒は飲めないし、やっていないと否定。間違いなく凶相男の言い掛かりです。ホント、困りました。
介護職男を紹介した不動産屋に解決策を訪ねても、「民生委員に相談しましょう」としか言わない。相手は狂っているから私の親には任せられない。
思案してたら親父から話を聞きつけて弟が登場。仕方なく弟と私の二人で凶相男に会いに行く事に・・・・・・・・・。
夕方、凶相男の部屋のブザーを押す。出て来ない。居るのは分かっている。もう一度押す。ゆっくりとドアを開ける凶相男。
今まで凶相男の顔を間近から見た事はなかったが、何か違う。人間離れした顔をしている。どこが違うのだろと思いながら、「何故、介護職男の部屋に木刀を持って怒鳴り込んだのかと」と質問。
そしたら凶相男は「アイツは包丁を持っている。包丁で刺そうとする。だから木刀を持っていったんだ」と。
弟はそれを聞いて激高。「誰も包丁で刺そうとはしていない。お前、馬鹿じゃないのか」と。
私はその瞬間、介護職男の「狂っている相手には平謝り」の言葉を思い出し「不味い」と思った瞬間、何を言っているのか分からないが凶相男は絶叫。全然話にならない。
私は「201の介護職男は酒も飲めないし、夜中に大声なんか上げていない。隣の家の住人もウルサイなんて言っていない。私はその時、1階の店舗で作業していたが、全然そんな声聞いていないぞ。皆、アンタの錯覚だ。冷静になって考えてみろ」と。
凶相男は「そんな事はない。大声あげている。何で聞こえないんだ」と言い返す。
私はその時気が付きました。凶相男の違和感に。
何とこの凶相男、瞬きをしていない。ずっーと目を見開いたままなのです。そして思い出しました。丑三つ時に某神社でやはり角刈り推定50歳前後の男の幽霊を(詳しくは、以前書き込んだ『幽霊との対峙』を読んでください)。
「この凶相男は幽霊のように瞬きをしない。生きている幽霊と言える。だから気が付かなかったが違和感を感じていたんだ。それにしてもどうして瞬きせず、目を見開いたままで入れるのだろうか。精神がおかしくなると視神経も影響するのか」と思った。
それにしても困った。全然会話にならない。この凶相男、アルコール入っているみたいだし、このまま話を続けても堂々廻りになるだけ。ここはいったん退却するしかありませんでした。
続く。