諸行無常なる日々。或いは鬼渡神と神々の源流。

呪われた家系を生きる私の人生観や日常。それに立ち向かう為の神道的な考え。そして因縁の鬼渡神、神々の源流について考えます。

最初で最後の豪華な晩餐。その2 【すていき小次郎編】

2016年07月02日 00時00分01秒 | 思い出

続きます。

「すていき小次郎」へは支店長以下仙台支店の男子社員14名で向かいました。何分30年前の話ですのでどこのビルだか覚えていませんが、中々のお店でした。今でもあるみたいです。そこで確かコースではなくて、お好みで注文し始めたんです。

私が頼んだ訳ではないですが、一番高い仙台牛の肉を注文しているようです。誰もご飯やパンは注文しません。サラダと肉、魚介類、そしてスープ。飲み物は白ワインです。

ビールは頼まず。白ワインのみです。300ml程度の小瓶に入っていました。仙台牛は何故か白ワインでなくては駄目って感じでした。

私はビールも駄目ですが、ワインも好きじゃない。あいやぁーと思いましたよ。でもこの白ワイン頗る美味い。いやいやいやいや、こんなにワインが美味いなんて知りませんでした。新入社員でしたので遠慮しましたが、7本位飲んじゃいましたわ。

実は私、そんなに肉は好きと言う訳ではありません。レアでなんか食べれません。飢える団・・・・・じゃなくてウエルダンじゃないと食べれない。でも高級ステーキ店ってウエルダンでも中は結構生なんです。チョット気持ち悪い。でも4万円も払っている。先輩方も鬼の様に食べている。私も元を取らなくてはと無理して食べました。

ところで私、知らなかったのですが、ステーキって100gとか150gで小刻みに焼くんですね。その方がお代わりし易いと言うか、結構食べちゃうものです。私、700g位は食べたんじゃないかなぁー。あんまり印象に残っていませんでしたけど。

味は確かに美味しいかったですが、中は生でしたからね。「もっとしっかり焼いてくれよぉー」と思いながら、損してはならじと食べたのです。味は覚えていません。ワインで酔っ払っていましたし、4万円払う絶望感の方が強かったですし。

そして御開き。私は二年先輩のKさんと酔い覚ましにお茶して帰る事になりました。そこでK先輩は「お前は良いよなぁー4万円しか払わなくて」と言うのです。

「えっ、先輩は4万円じゃ無かったんですか」と私。

「何言ってるんだよ。秋のボーナス全部だよ。12万円だよ、12万。12万も払ったんだよ」と涙目の先輩。

「ええっ、何でそんなに払ったんですか」と私。

「何言っているんだよ。それだけ食べたからだろ。お前、あのワイン、一本いくらだと思っているんだ。9800円だぞ。お前、一体何本飲んだんだ」と先輩。

「7本」。つまりワインだけで68600円も飲んじゃったのかよ。ええっー。

「肉だってあの小さな一枚で1万円位するんだぞ」と続けざまに先輩。

っと言う事は私、7万円以上もステーキ食べちゃったのか。うわぁーん。

その他にもサラダとかフルーツとかオードブル、魚介類とか食べちゃったから、私の食べた総額は15万円程度になるのでは。

「主任も秋のボーナス全額取られたのだぞ。21万円だぞ。どうすんだお前」と先輩。

当然、係長、課長、次長はそれ以上払った筈。「支店長なんか50万円位払ったんじゃないか。とんでもないぞ、お前」と先輩。

お前、お前と言われても私はどうもできませんよ。4万円でもヘロヘロ状態なんですから。

それにしても支店長は当時41歳。何を一体考えているんだ。馬鹿じゃないかと思いましたわ。こんなに馬鹿高いステーキ食べちゃって。

「こんな高額なステーキを食べたら人間として駄目になる。今の自分にそんな資格はない。なんて馬鹿なことをしてしまったんだ」と罪悪感で一杯になりましたわ。

これがバブルなのですよ。狂っていたのです。当時の証券マンは。

弾けて当然です。こんな事何時までも続く筈が無い。バブル崩壊は当然だと思いましたね。

その後、とんでもなく高額なステーキを食べた甲斐もなく、エグゼクティブな客を掴むどころか私は一年で退職。

会社は「社員は悪く有りませんから~」と社長が言って倒産した証券会社の子会社だったものですから、吸収合併に継ぐ合併でK先輩を始め殆どの社員が退職。

支店長も肩書きが無くなりただの遊軍営業社員となり、惨めに消えて行ったとの事です。そんなもんです人生ってヤツは。

まっ、私の人生、これ以上大金を叩いて食事をする事はもう無いと思います。食べたくもないし、食べれなくても良いです。あの時のガッカリ感はもう懲り懲りですから。

4万円で15万円分食べたのだから良かったと思うでしょうけど、人間って質素なくらいで丁度よい。あんな豪華な食事をすると正負の法則で不幸になります。糖尿病もその一つだと思いますよ。

私、いわき市の好間町に住んでいたころ幼稚園で隠れて弁当を食べていました。何時もおかずは里芋の煮っ転がし。里芋の灰色とご飯の白のコントラストで見た目も悪い。恥かしかったのです。気の毒がって筋子をくれた友達がいましたが惨めでした。

でも下には下がいて、ミカンの輪切りとご飯だけの子もいた。オレンジ色と白でコントラストは綺麗でもミカンじゃおかずにならない。その子は父親がおらず貧しかった。私が里芋をやったらすまなそうに笑っていたのですが、そのシーンを思い浮かべると豪華過ぎる食事は悪だと思います。生きられる分だけ食べられればそれていいと思います。それが人間だと思います。

「じゃ、何でアンタ、太っているんだ」と言われたら、グウの音も出ないですけど。

 

ではでは。
 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする