ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

報道の中立公正さ

2008-04-10 17:34:56 | 社会・政治・一般
先週、朝日新聞を読んでいたら、またしても興味深い記事があった。

現在、NHKにおいて「国際報道における国益追求」の是非が問題になっているという。公共放送の役割を鑑みながらも、更なる国益追求を求める委員と、報道の中立公正をたてに反対する委員との両者の意見を載せていた。

もちろん、朝日の立場は後者の擁護であることが分る紙面作りであった。

まだ、信じているのか、報道の中立公正なんて虚像を。

誰にだって、立場というものがある。人は一人で生きているわけではない。いろんな人に助けられ、今の立場を得ている。それは報道とて同じこと。その立場が中立で公正であるはずがない。必ずある程度の偏りが生じるのは必然といっていい。

理想論としての報道の中立公正は分る。しかし、現実には不可能だし、これまでだって実現したことはない。

朝日新聞にしたって、反核運動の盛り上がりは積極的に報じるが、核兵器による戦争抑止を信じる人たちのことは、意図的に無視した報道をしてきた。武力による均衡平和は確実に存在するが、それを認識することを拒否した紙面作りをしてきたことが、中立で公正だと言えるのか。

NHKは公共放送だが、その内容は必ずしも中立公正とは言いがたい。荒川静香選手が金メダルを掲げる場面は報じても、日の丸を掲げてリンクを滑走する場面はカットする。反論の機会を与えぬリンチを裁判と称した悪質な行為をゴールデンタイムに報じるような偏った報道をしてきたのが実情だろう。

ましてや、国際報道の世界は国益の立場にたった、偏った報道が垂れ流されているのが現実だろう。先のチベット騒乱を報じた欧米の報道と、中国の新華社の報道を比べてみればいい。どちらも国益を配慮した報道であり、中立とか公正なんざ視座に入っていないことは自明だと思う。

偏った報道をしておきながら、中立公正を装う姿勢こそ、自覚無き悪質なものだと断言したい。
コメント (5)
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