プロレスって、演劇だよなあと実感したのがローデスの変貌ぶりだった。
TVや映画と異なり、演劇ではダイレクトに観衆の反応が舞台に伝わる。優秀な役者は、観客の雰囲気を掴んで、その演技に彩を添える。これは、プロレスにも通じることだ。
アメリカのプロレスラーにとって、日本巡業は出稼ぎの扱いだ。しかし、若手のプロレスラーは、一流の選手と同行することで、一皮剥けることが多い。また技術の高い日本人レスラーとの試合を通じて、プロレスラーとしての技術を向上させることもある。そのため、日本帰りは出世するといった風潮を生むようになった。
ところが、アメリカで既に超一流としての評価を得ている選手は、そのスタイルに固執して、日本では人気を得れないことが少なくない。派手なショーマン・シップを求められるアメリカとは異なり、日本では格闘技志向があり、パフォーマンスは嫌われることさえある。
70年代後半から80年代にかけて、アメリカでは超一流の人気レスラーであったダスティ・ローデスは、日本で自分のスタイルが受けないのが不思議でしょうがなかった。年に100万ドルは稼ぐといわれたローデスだが、どうも日本では観客の受けがよくない。彼はそれに気がついていた。
金髪で太っちょのローデスは、金ラメ入りのゴージャスなガウンをまとい、おかまチックな腰使いで観客を沸かせ、陽気で激しい暴れっぷりで人気を博していた。技といえば、フライング・エルボードロップだけだが、派手なパフォーマンスと、陽気なふるまいで全米各地で引っ張りだこの人気レスラーであった。
ところが日本では、どうも観客の受けが良くない。大概のアメリカのレスラーたちは、ここで諦める。帰国すれば、大うけするのは分っているから、無理に努力する必要を感じなかったのだろう。
しかし、ローデスは違った。超一流のプライドが、このままでいることを許さなかったのだろう。地方巡業の時も他の試合を観察し、日本人が好むプレースタイルが格闘技志向にあることに気がついた。ボクシングの素養があったローデスは、それを活かすことに決めた。
ずんぐりむっくりのローデスだが、実は動きは俊敏だ。テディーベアのような体格にもかかわらず、素早くフットワークを刻み、鋭いジャブを連発して、決めの右ストレートを放つ。この意外性が、日本の観客にも受けた。
TV放送時、テレ朝の古館アナの隣で解説していた山本小鉄は、当初ローデスが気にいらなかったようだが、シリーズ終盤になると、ローデスを褒めていた。研究熱心だと盛んに褒めはやした。
日本語なんぞ分らないはずのローデスだが、観客の反応を読む技術には長けていた。頭のいい彼は、観客を沸かせるための努力を惜しまない苦労人だった。だからこそ、成功したのだろう。
もっとも、格闘技志向は彼の好むところではなかったらしい。その後は、あまり日本に来なかったのが少し残念だ。技なんぞ、ほとんどないローデスだったが、演技は達者なものだった。そのコミカルなふるまいだけで観客を沸かせた芸達者ぶりは、もっと観たかった気がする。
TVや映画と異なり、演劇ではダイレクトに観衆の反応が舞台に伝わる。優秀な役者は、観客の雰囲気を掴んで、その演技に彩を添える。これは、プロレスにも通じることだ。
アメリカのプロレスラーにとって、日本巡業は出稼ぎの扱いだ。しかし、若手のプロレスラーは、一流の選手と同行することで、一皮剥けることが多い。また技術の高い日本人レスラーとの試合を通じて、プロレスラーとしての技術を向上させることもある。そのため、日本帰りは出世するといった風潮を生むようになった。
ところが、アメリカで既に超一流としての評価を得ている選手は、そのスタイルに固執して、日本では人気を得れないことが少なくない。派手なショーマン・シップを求められるアメリカとは異なり、日本では格闘技志向があり、パフォーマンスは嫌われることさえある。
70年代後半から80年代にかけて、アメリカでは超一流の人気レスラーであったダスティ・ローデスは、日本で自分のスタイルが受けないのが不思議でしょうがなかった。年に100万ドルは稼ぐといわれたローデスだが、どうも日本では観客の受けがよくない。彼はそれに気がついていた。
金髪で太っちょのローデスは、金ラメ入りのゴージャスなガウンをまとい、おかまチックな腰使いで観客を沸かせ、陽気で激しい暴れっぷりで人気を博していた。技といえば、フライング・エルボードロップだけだが、派手なパフォーマンスと、陽気なふるまいで全米各地で引っ張りだこの人気レスラーであった。
ところが日本では、どうも観客の受けが良くない。大概のアメリカのレスラーたちは、ここで諦める。帰国すれば、大うけするのは分っているから、無理に努力する必要を感じなかったのだろう。
しかし、ローデスは違った。超一流のプライドが、このままでいることを許さなかったのだろう。地方巡業の時も他の試合を観察し、日本人が好むプレースタイルが格闘技志向にあることに気がついた。ボクシングの素養があったローデスは、それを活かすことに決めた。
ずんぐりむっくりのローデスだが、実は動きは俊敏だ。テディーベアのような体格にもかかわらず、素早くフットワークを刻み、鋭いジャブを連発して、決めの右ストレートを放つ。この意外性が、日本の観客にも受けた。
TV放送時、テレ朝の古館アナの隣で解説していた山本小鉄は、当初ローデスが気にいらなかったようだが、シリーズ終盤になると、ローデスを褒めていた。研究熱心だと盛んに褒めはやした。
日本語なんぞ分らないはずのローデスだが、観客の反応を読む技術には長けていた。頭のいい彼は、観客を沸かせるための努力を惜しまない苦労人だった。だからこそ、成功したのだろう。
もっとも、格闘技志向は彼の好むところではなかったらしい。その後は、あまり日本に来なかったのが少し残念だ。技なんぞ、ほとんどないローデスだったが、演技は達者なものだった。そのコミカルなふるまいだけで観客を沸かせた芸達者ぶりは、もっと観たかった気がする。