ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

しり取り

2009-03-02 12:14:22 | 旅行
疲れていると、ふとした瞬間に本性が出る。

あれは大学2年の春。九州と朝鮮半島の間に浮かぶ島、対馬を縦断した時のことだ。けっこう細長い島で、徒歩で140キロあまりを北上して完走を目指していた。

山というより丘に近いが、わりと野山が多く、国道がうねうねとくねりながら続いている。途中、日本に最初に伝来したと伝えられる仏教寺を見学したり、太平洋戦争時の軍の地下基地をまわったりと、バラエティに富んだ道中だった。

このような里巡りの旅は、地方の人々との交流も面白い。昨日は養蜂業者を見学させてもらい、未精製のロイヤルゼリーの野性味あふれる芳醇な味に感動したものだ。翌朝、下半身が元気になってしまったことが、後の失言の一因になったことは否定しがたい。

その日は、舗装された国道をはずれ、山道をまわり県道を抜けて公民館で泊まる予定だった。テント暮らしは嫌ではないが、久々に屋根と壁がある建物のなかで泊まれるのは、やはり嬉しい。

ただ、この日は強行軍だった。35キロ前後のザックを背負い、12時間行動はかなりシンドイ。まして、最後の行程は、風景も平凡で、ただ県道を歩くだけの退屈なものだった。

後一時間あまりで公民館に着くと思われたあたりで、あまりの退屈さにリーダーのT氏が妙なことを言い出した。歩きながら「しり取り」をやり、5回しくじった奴が今夜の食器洗い当番だと宣した。

リーダーの言は絶対だが、この疲れている時に、しり取りなんてと思ったが、逆らうことも出来ない。想像して欲しい。大きなザックを背負った若者たちが、歩きながら、しり取りをしている風景を。

いささか、げんなりしながらも、さっそくにゲーム開始である。

「対馬」・・・「まんじゅう」・・・「うなぎ」

食い盛りの若者である。自然に食べ物ネタが口にでる。疲れているせいもあるが、けっこう簡単に間違える。負けず嫌いの私は、けっこう気合を入れてやっていた。でも、段々疲労で頭がぼやけてきている。

「浮世絵」・・・ん?え、え、え。っで、私の口から出た言葉は

「エクスタシー」

皆、吹き出した。T氏バカ笑い。そんな笑わなくともいいと思うが、後輩のS子に「本性が出ましたね」と止めを刺される。

嗚呼、ヌマンタ株暴落である。疲れている時にやるもんじゃないよ、しり取りは。
コメント (4)
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