ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

バビル二世 横山光輝

2010-10-05 12:26:00 | 
バランスの良さからくる安定感、それが横山光輝の魅力だった。

驚くべき構図の安定感が、この人の漫画の特徴だった。昨今の漫画と比べると、退屈なほどに絵柄は安定している。線の太さは常に一定で、登場人物と背景、科白部分は読みやすさを基調としている。

だから現代物であろうと、歴史物であろうと絵柄は常に同じ雰囲気をかもし出す。正直言って退屈さを覚えるほどの安定感、それが横山光輝の特徴だった。

だが、その漫画は決して平凡ではなかった。なによりもストーリーが魅力的だった。ロボットが出ようと、超能力が炸裂しようと、はたまた怪物が暴れようと、ストーリーが破綻することはない。あくまで自然な流れで物語りは進む。

そこには驚きはあっても革新性はなく、良くも悪くも王道をはずれない。いつか、対談のなかで横山氏本人が、常に親が子供に安心して読ませられる漫画を描くことを心がけていたと話していたが、その言に偽りなしだと思う。

だからこそだろう。横山光輝の漫画はアニメ化されることが多かった。TVの前で大人も子供も観れる内容が多かったからでもある。

実は現在、ヤング・チャンピオンという漫画雑誌(隔週刊)で、若い漫画家の手によるバビル2世が連載されている。現代に場面を移し、復活したロプロスやャZイドン、ロデムが横山版とは全く違う画風、デザインで描かれている。

正義の味方であるはずのバビル2世は、異星人としてアメリカから敵視され、現在太平洋艦隊及び在日アメリカ軍との戦争状態に入っていて、なかなか目を離せない展開となっている。ただ、デザインが懲りすぎていて、少し分りづらい絵柄なのが気になる。

そこで改めて横山版のバビル2世を再読した次第。今や古典的といっていい漫画ではあるが、現在、これほど安定した絵柄で漫画を描く人はいないと痛感した。

それは進歩かもしれないが、劇画風の基調に改められた若手漫画家の作風と比べると、改めて絵柄、構図の分りやすい横山光輝の技量の高さを痛感したものです。横山漫画は、老若男女問わず楽しめる漫画なのだと、改めて感服しました。

こちらは「バビル二世 ザ・リターナー」

コメント (6)
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