当たって欲しくない予測なのだが、当たりそうで怖い。
長い間、軍が独裁政治を断行していたミャンマー(旧ビルマ)において、選挙が行われて民主化への第一歩が踏み出された。もちろん、あの目の上のタンコブであった、アウン・サン・スーチイ女史も解放されている。
これは権力の維持に政府が自信を持ったからであると同時に、唯一の支援者であった共産シナのこれ以上の国内関与を抑えて、西側先進国との関わりを持ちたいと願うミャンマー政府の強い意志の表れでもある。
この動きを受けてアメリカが制裁解除を徐々に進めてきている。そしてアメリカ企業はもちろん、欧州の企業もミャンマー進出の動きを早めている。
しかし、日本は相変わらず反応が遅い。既に首都ヤンゴンでは外国企業の進出を受けて活気を増している。TVなどの報道スタッフなどが訪れて市民の声を聞くと、皆一様に明るい。日本も早く来てくれればいいのにと話す現地の人々の声を伝えてくる。
実際、人件費はアジア屈指の安さであり、社会の安定性も高く、今後大きく発展が期待される。そのせいで、日本のマスメディアでもミャンマーを新たな投資先として奨める記事を幾つか眼にしている。
如何なものかと思う。
まず、国内情勢だが未だ一部では内戦状態が続いている。カレン族とは停戦に至ったようだが、和解には程遠いらしい。またカチン族とは火種が燻っているため、小規模な戦闘が続いていると聞く。
もともと複数の部族連合であったビルマ王家の統治システムをイギリスが破壊してしまい、現在は最大部族のミャンマー族がその軍事力で抑えているに過ぎない。
昼なお暗きジャングルと、険しき山地、雨次第で川筋を変える幾多の河川に分断されたミャンマーは、未だ統一された状況とは程遠いことは明白だ。
そして共産シナが長年支援の名の下に、ミャンマー各地に利権の砦を築いている事実を無視すべきではない。既にミャンマー経済の大半は、シナ人(華僑)の手に握られている可能性は高い。
だからこそ、ミャンマー族はシナ人に脅威を覚え、対抗策として欧米の外資を呼び込むことを目的にしている。シナ人が素直に市場を引き渡すはずもなく、むしろ経済発展の足を引っ張る可能性のほうが高いように思う。
ヴェトナムはシナ人との戦争を覚悟の上で、シナ人を追放してまでして影響力を排除した。その上での国内発展を目指したために、経済発展にかなり難儀している。
一方ラオスやカンボジアはシナ人抜きでの経済運営は不可能と諦めて、華僑に経済を握られたうえでの発展を目指した。その結果、国内は安定したが利益の多くを華僑に絞られて、貧しさから抜け切れない。
果たしてミャンマー政府に、どこまでシナと対峙する覚悟があるのか?
東南アジアは、今後も世界経済を大きく牽引していく可能性を秘めている。だが、忘れてはいけないのは、アジアにおいては未だ冷戦は終わっていないという事実だ。
安易にミャンマーに日本企業が進出すれば、後で手痛いしっぺ返しをくらう可能性は否定できない。戦前よりミャンマーは、日本に対して好意的な国として知られている。だから、発展を願う気持ちはあるが、率直に言ってリスクは極めて高いと思う。
はずれて欲しい予測だが、やたらミャンマーを新たな投資先として推奨する報道が増えていることに危惧を感じざる得ません。