ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ミサイル発射の功罪

2012-04-23 12:06:00 | 社会・政治・一般
北朝鮮が先週、弾道ミサイルの発射実験に失敗した。

国連での非難決議も早々に出たのはともかく、これで北朝鮮の政権の寿命が縮まったとする報道を目にすることがあった。如何なものかと思う。

たしかにミサイルは空中で爆発した破片と化した。未だ北朝鮮にはICBMクラスのミサイルを実用化する技術がないことが分った。三代目の金正恩の晴れの門出を祝うイベントになりえなかったのも事実だ。

だからといって、全てが失敗であったとはいえまい。私が今回、一番驚いたのは弾道ミサイルの発射失敗をすぐに認めたことだ。これは今までになかったことだと思う。これは政権の維持に自信があることを示しているのか?少々疑わしくもある。

実際問題、多数派に囲まれた少数派の立場は厳しい。周囲から非難されようと、それが口先に留まる限りは問題ではない。むしろ、周囲の非難こそが団結の動機となりうる。

今回のミサイル発射失敗は、むしろ三代目を中心に据える権力層の団結を促す可能性が高い。独裁国家では、独裁者の周囲にあって存在感を示すことこそが、権勢を得る手段となりうる。

基本的に、二代目の親族とその権勢に預かった支配者層こそが、三代目を支える主力となっている。彼等は断固として、この三代目を支えることを決意している。その決意は、今回のミサイル発射失敗により、一層強まったと考えられる。

率直に言って、国連の非難決議なんて北朝鮮には痛くも痒くもない。アメリカの食糧支援の中断は痛いが、苦しむのは貧しい地方の国民だけで、支配者層には影響しない。

どうも我が国のマスコミ様に置かれては、北朝鮮がなにか失敗すると、それを喜び、政権の崩壊が近づくと思い込む傾向があるように思う。

私は今回の弾道ミサイル発射失敗が、むしろ北朝鮮の団結(支配者層のみ)を高め、より一層頑固に孤立化を深める気がする。つまり、多くの方が期待する世界に開かれた国への変貌とは逆方向に進むと思う。

アメリカにとっては現状維持が望ましく、シナも同様にじわじわと唯一の支援国としての立場を強化できれば、それで満足である以上、今回の失敗が日本にとって、特に口先平和志向の強い方々に好ましい方向に向かうとは考えにくい。

TVで北朝鮮のガイドへ今回のロケット発射失敗をどう思うかを問うたところ「失敗は成功の母です」と切り返されていた。ある意味、本当だと思う。

今回の失敗で、北朝鮮指導部はより一層団結を深めると私は思う。まァ、団結を縮こまる、もしくは凝り固まると評しても、そう間違いではないとも思いますがね。
コメント (2)
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