ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

改めて未来を憂う

2013-06-20 11:48:00 | 社会・政治・一般

根が楽観的な私だが、将来を考えるといささか悲観的にならざるを得ない。

21世紀をむかえた現在、予測されるのは石油資源の枯渇と人口の増大だ。さらに付け加えるのならば、アメリカ・ドルという世界交易の基軸通貨の失墜だと私は考えている。

まず石油だが、中国やインドネシアの経済成長に伴い消費量は拡大する一方なのに、埋蔵される石油は減少する一方だ。はっきり断言しますが、石油を代替する資源はありません。燃やすだけなら天然ガスや石炭でも代替できますが、プラスティックをはじめ石油化学製品を代替する資源は未だ見つからない。

更に一言付け加えれば、今やたらと宣伝されているシェールガスですが、これとて一時的な存在に過ぎず、海中に大量に眠るメタンハイドレードよりは実用化が早いだけ。その程度の資源に過ぎません。

次に人口の増大。これも21世紀中に100億突破が迫っている。この膨大な人口を養うだけの食糧と水を供給することは出来ない。凄まじい食料格差、水格差が生まれ、結果的に地域紛争が拡大する。これは援助とか助け合いなんて生ぬるい手立てでは対応できない。

なぜなら食料と水は命を支えるからだ。自ら生きるため、愛する家族を守るため、武器を取って戦い、水と食料を奪う。これは生物の本能に基づく行為であり、戦争根絶とか平和を愛するなんてお題目では抑えられない。

ただし、この紛争はアフリカを中心に第三世界で起こる。先進国では他人事になるため、なおさら加速度的に状況は悪化するでしょう。世界の警察を気取るアメリカでさえ、ソマリア以降アフリカには係りたくないと思っている。

そして最後にアメリカ・ドルだ。ユーロは既に失墜しつつあり、ユーロの解体さえ予測されてしかるべき状態にある。日本円は基本的にドルとリンクが強すぎて、本格的にドルが失墜すれば、円も共倒れ関係にある。いずれにせよ、ドルに代わり世界通貨の基軸となりうる通貨は未だ存在しない。

現在アメリカ政府にとって最大の懸念事項は、予算不足である。これ以上借金を増やすことができない(財政の壁ってやつだ)ために、軍事予算から公共福祉予算に至るまで、至る所で予算切りを行って緊縮財政策をとっている。

これは誰が大統領になろうが、長期的には変わらない。なぜなら欧米文明の退潮は既に歴史の流れとして確定している。これはヨーロッパも同様であり、欧米と同じ歴史的進展を共にしてきた日本も、この長期的衰退の流れに含まれている。

ただしアメリカだけは、この歴史的衰退の流れから抜け出る可能性を秘めている。ただし、そのためにはアメリカが大きく変質しなければならない。少なくても白人が多数派の座を追われ、英語さえも少数派の言語に替わる時、アメリカは新生アメリカーナとして再生する可能性を持っている。

これは歴史上、一度しかない大変質でもある。すなわち古代文明の牽引車でもあったオリエントが衰退した時、突如砂漠から現れてオリエントを一新したカリスマ指導者マホメットによるイスラム革命である。

イスラム以前と以後では、まるで違った文明の相をオリエントはみせる。これが人類史上、唯一といって良く、衰退する流れから再生した実例なのだ。

なお一応触れておくと、シナの中華文明は決して連続した文明ではない。漢民族中心の中華文明は三国時代から西晋で終焉し、その後は異民族がシナの地に流れ込み、征服王朝としてシナの文化を大きく変質させている。この変質は断続的に、時には中断を挟んで行われていたため全体像を把握しずらい。

だが、はっきり断言できるのだが、既に中原に栄えた中華文明は滅び、文明の中心地は長江南部に移行している。ただし現・北京政府は北方出身者の軍事力を元に築かれたため、その首都はかつての蛮族の地・北京にある。

したがって今の北京政府内部の権力闘争は、南方の経済実権派と、北の軍幹部との間で繰り広げられる。今でも最新の軍事装備は北方軍から配備されるのが、その証拠であるが、最近は南方軍がその経済力を武器に勢いを増している。シナ海軍の空母保有計画がその一例だと私は考えている。

皮肉な見方だが、漢民族による中華文明は滅び、異民族の混入により変質したからこそ中華文明は生き延びた。生き延びはしたが、停滞した社会構造は昔と変わらずであるからこそ、中華文明は昔と変わらずに見える。停滞し遅れた文明の地であったからこそ、経済発展を遂げる余地があった。

なお経済発展著しいシナではあるが、シナが欧米文明に替わって世界の枢軸となることは考えにくい。なぜなら、世界が模範とし、憧れとし、目標とするような新しいものは何一つない。昔と変わらず停滞した地だからこそ発展の余地があった。ただそれだけなのだ。

むしろ東南アジアの華僑勢力のほうが潜在力は高いと私は考えている。欧米の文化を吸収する一方で、アジアの伝統社会の基盤を残している東南アジアには、新しい文明が育つ余地が十分あるとみえるからだ。ただ、政治的に統一されたシンボルに欠けるが故にまとまりづらい。ゆえに可能性あれども現実的ではない。

もっとも世界的にみれば、次なる本命は南米だとする意見も強い。私自身はアメリカのラテン化と関連しての南米の躍進の可能性を検討すべきだと考えている。もっとも、そんな世界的な潮流の大変化は、早くて今世紀末、多分22世紀だろうと思っている。

ところが、ここにきて全てをひっくり返すニュースが入ってきた。それは寒冷化である。

すなわち太陽の活動に変化の兆しがあると、天文学者らが報告するようになってきたからだ。地球の大気は、太陽からの放射熱により温められる。このエネルギーに比べれば、二酸化炭素による温暖化なんて小さなものだ。太陽あっての緑の地球なのだ。

太陽からの放射熱に小さな揺らぎが生じただけで、地球は簡単に氷河期に突入する。事実、17世紀に地球を襲った小氷河期ともいえる寒冷期は、太陽からの放射熱がわずかに減少したことが原因だとされる。

ここ最近は猫も杓子も地球温暖化を叫んでいたので、今さら寒冷化?と思われるかもしれないが、私が10代前後にはむしろ寒冷化のほうが浮黷轤黷トいた。有史以来、人類を襲う様々な天変地異のうち寒冷化による飢饉ほど恐ろしいものはなかった。

むしろ温暖化は、農作物をはじめ植物を大いに繁茂させて、その結果として動物の大型化など様々な恩恵を地上の生き物に与えてきた。2億年以上繁栄した恐竜たちが最も栄えたのは、今よりはるかに温暖化が進んだ時代であった。

なにより我々、現生人類が今日の繁栄を築いた出発点は、一万年前の氷河期の終了であった。だからこそ、寒冷化につながるニュースは恐ろしい。

もし仮に氷河期が再び訪れたのならば、果たして我々人類は生き残ることができるのか。私はかなり懐疑的である。人類の文明が滅んで、その地位を奪い取る新たな生物が登場する進化のドラマが繰り広げられるかもしれない。

いずれにせよ、特定のグループが広めたと思われる地球温暖化説よりも、天文科学者らが警鐘する太陽活動の変化の報に私の関心は向いているのは確かです。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする