ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

お山の大将ゆえに

2014-04-15 16:00:00 | 社会・政治・一般

子供の頃、TVを見ながらこの人はいつか日本の首相になるのかなと思った政治家のうち、2人だけなれなかった人がいる。

一人は現首相である安倍晋三の父親である安倍晋太郎であり、もう一人は今回八億円の借入疑惑で党首を辞した渡辺善美の父である渡辺美智雄である。

どちらも病気による早過ぎた死が原因ではあるが、安倍が竹下の狡猾さに負けたことが一因であったのに比して、ミッチーは器量不足の感が否めなかった。

中曽根派の後継者としては、いささか荷が重かったように思うし、失言の多さも足を引っ張った。が、なにより渡辺美智雄には腹心ともいえる存在がいなかった。だから、肝心要の際に一人芝居を演じてしまい、それが空回りして首相の座を逃したように思えた。

その背中を秘書として身近でみていたのが長男である渡辺善美である。いったい、この人なにを見ていたのかと思う。

たしかに気鋭の政治家ではある。行政改革担当大臣まで勤めながら、自民党を飛び出して、みんなの党なる政党の党首の座に収まった。野心満々であることが誰の目にも明らかであった。鶏口牛後を目指すのは、決して間違いではない。

しかも父親譲りとも云える、あっけらかんとした態度がその野心に黒いものを感じさせないだけの器量はあったと思う。ただ、この人は父親に比べてはるかに度量が低かった。

みんなの党とは、みんな渡辺に従えの党ではないかと、私などは邪推していた。自分の意見に反対するものを受け入れる度量に欠けていた。だから、せっかく両院合わせて40人以上の野党となったのに、すぐに党から集団離脱されてしまっている。

今回の8億円借入疑惑だって、最初から選挙資金であることは誰の目にも明らかであった。それを誤魔化そうと、詰まらぬ言い訳なんかしているうちに、どうしようもなくなっての辞任である。もっと早くに認めていれば、これほどの騒ぎにはならなかったように思うが、それを進言する腹心がいなかったのであろうことは、容易に想像がつく。

このままなら、リクルート事件での汚点を補えなかった父と同じ道を辿る気がしてならない。まァ、日本にとっては、そのほうが良いようにも思えるあたりが、この人の人徳のなさであろう。

政治家が最高位を目指すことは、決して悪いことではない。トップに立たなければ、自らの理想の政治の実現は出来やしないからだ。だが、そのためには自分の意見に反対する人をも引き付ける度量が必要だ。

良くも悪くも大物政治家であった父、渡辺美智雄の長男として、この人が常にお山の大将であった幼年期を過ごしたことは、想像に難くない。その良い面もあるが、今回は悪い面ばかりが出てしまった。

私は、人間の価値を失地からどう再起するかで測る。安倍晋三は父の死と、自らの病気により首相退陣からの復活という大業を成し遂げた。アベノミクスが失敗に終わろうと、その点だけは評価できる。

はたして渡辺善美は、この失地から立ち直り、首相の座に上り詰めることが出来るだろうか。私は悲観的にみているが、まだ時間は十分ある。ここから立ち直ることが出来れば、それは大したものだと云える。

はてさて、どうなることやら。

コメント
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