難病ゆえに長く自宅療養をしていた頃、夢中になっていたTVゲームの一つにファミコンの「ファミリースタジアム」通称ファミスタがある。
野球ゲームなのだが、簡単だが奥が深いアクションと、短時間で一ゲームを終わらせることが出来るので、一人で、あるいは友達と数人で楽しめる好ゲームであった。
ある日、ゲーム雑誌にアメリカ版のファミスタが紹介されていて、その画面に驚いた。ファミスタといえば、3頭身のモザイクキャラがちまちまと動くのが当然であった。しかし、アメリカで発売されているファミスタのキャラは、なんと6頭身であり、かなりリアルに表現されていた。
もちろん8ビット機であるファミコンなので、その動きは決してスムーズとは言い難いが、雑誌のなかで任天堂の関係者が、アメリカでは人物キャラはリアルに表現されていないと受け入れられないと述べていたのが印象的であった。
この傾向はアニメーションでも顕著だと思われる。とりわけ3D撮影技術の進歩に伴い、可能な限りリアルにアニメを表現しようとする傾向がアメリカのアニメ映画には顕著だ。
率直に言って、ならば実写でも良いのではないかと思うが、そうならないのが面白いところ。実際、表題の映画でも、雪や氷の結晶の表現力は、実写を超えてアニメーションならではの表現力を見せる。CG技術の進歩には驚かされるばかりだが、この映像を3Dで観るのは、ほぼ実写に近い描写だと思う。
一方、昨年日本で公開されたスタジオ・ジブリの「かぐや姫のものがたり」は、このアメリカのアニメとは一線を画す日本独自の表現方法であり、どちらがイイ、悪いとは言わないが、非常に興味深い対比となる。
でも、本当に大切なのは、ストーリーであり、アニメによる表現力はそのための手段であることを忘れて欲しくないものだ。表題のアニメ映画は、おそらく原作はアンデルセンの「雪の女王」だと思われるが、まるで違うストーリーとなっている。
だが、物語としては破綻なく、また違和感もなく出来ているので、アンデルセンの作品とは別のものだと思えば気にならない。実際、楽しい映画でしたし、大ヒットした「Let it GO」に合わせて歌い、踊る登場人物たちの動きもスムーズで、大人から子供まで楽しめる作品です。
とりわけ雪が舞う場面や、女王の魔法により凍結する城の場面は美しく、その映像美に思わず心を奪われます。特段期待もしてなかった映画でしたが、楽しい時間を過ごせました。機会がありましたら是非、映画館のスクリーンで楽しんで欲しいと思います。