ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ロムー選手の死

2015-11-24 12:03:00 | スポーツ

少し落ち込んだ。

木曜日の朝刊に、ニュージーランドの伝説的なラグビーの名選手であるロムー氏の死去が報じられていた。

正直言うと、私はラグビーがよく分かっていない。どうも不器用な性分で、自分がやったことがないスポーツへの理解がイマイチなのである。

だから最近、日本が活躍したというラグビーのワールドカップのことも、あまり詳しくない。そんな私だが、ニュージーランドのオールブラックスの事は知っていたし、中でも世界的な名選手であるロム―選手のことは、彼だけは知っていた。

実は私と同じ病気を持っていた難病患者であったからだ。もっといえば、私よりもより治癒が困難なタイプでもあった。一度は引退をしたが、その後腎臓移植を受けて、再び選手としてカムバックしている。

しかし、過酷なトレーニングと試合は、彼の寿命を着実に縮めてしまった。

腎臓とは、厄介な臓器で、未だ現代の医学では腎臓機能を回復させる治療薬を見いだせずにいる。腎臓移植は最後の一手ではあるが、決して万能ではない。免疫の拒絶反応を抑える薬の服用は、一生涯続くし、その薬の副作用も馬鹿にはできない。

現在、もっとも有効とされる治療法は、腎臓に流れる血液の流入量を減らすことと、その濾過機能に過大な負担を鰍ッないことだ。つまり簡単に云えば、安静を守ることだ。そして、残念ながら、運動をすることは、その両方を増やしてしまう。

ロムー氏がラグビーに復帰したことは、腎臓にダメージを与えることに他ならない。そして、間違いなくそのことを、ロムー氏は自覚していたはずだ。分かっていても、彼はラグビーをやりたかったのだろう。

それが分かるから辛い。

私も何度となく悩んだ。再び山に登るべきか否かを。今も軽くジョギングぐらいはしているが、山に登る気持ちにはなれない。再び再発したら、失うものが多すぎるからだ。

それは、おそらくロムー選手も同じであろう。そして、それを覚悟の上で彼は、再びジャージに着替えてグラウンドに立った。その結果として、必然の死でもあった。

彼は幸せだったのだろうか。そう信じたいが、信じてはいけない気もする。多分、彼にしか分からないのだと思います。

コメント
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