ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ホームドア

2016-08-23 12:27:00 | 社会・政治・一般

哀しくなる。

先週のことだが、東京で視覚障碍者の方が、地下鉄の駅のホームから転落して亡くなった。その時、私は銀座線に乗ったばかりで、電車が駅で長時間止まり、なにか事故があったようだとは思っていた。

その後、青山一丁目駅での人身事故で、折り返し運転するとのアナウンスがあり、南北線と半蔵門線で迂回して渋谷に着いた。帰宅してから、ようやく事故が視覚障碍者がホームから転落死したと知った次第だ。

どうやら、盲導犬が同行していたようだが、それでも転落は免れえなかったようだ。惨い事故だと改めて思った。東京の地下鉄銀座線は、一番古い路線であるせいか、ホームが狭いことで知られている。

特に朝夕の通勤ラッシュ時には、三列で並ぶことを強くアナウンスしなければならないほど、ホームは狭い。安易に2列で並んでしまうと、確実にホームを塞いでしまい、横に移動するのが難しくなる。

そのせいかもしれないが、盲導犬を連れた視覚障碍者の姿を見ることは稀だ。20数年通勤で使っている私なんか、一度も見かけたことがない。ちなみに家の近くには盲学校があるため、視覚障碍者は頻繁に見かけるし、盲導犬もそれほど珍しくはない。

だから、銀座線で視覚障碍者及び盲導犬の姿を見かけないことを、少し妙に思っていた。でも、今回の痛ましい事故で、その理由が分かった気がした。ホームが狭すぎて、視覚障碍者には使いづらかったのであろう。

まだ今回の事故の真の原因は公表されていないが、もしホームドアが設置されていたのなら、防げたはずだ。そう思うと、哀しくなる。東京メトロが無為無策であったとは云わない。

だが、最近やっていた改修工事は、地下鉄内でのWifi環境の整備などで、ホームドアに関しては後回しにされていたのは、否定しがたい事実である。長く都政を牛耳っていた石原は、弱者救済には冷淡であったし、猪瀬もさほど熱心ではなかった。

舛添も派手な事業には関心が強かったようだが、ホームドアなど社会的弱者のための施策には、さほど関心はなかった。内田ら自民党都議連も、豊洲の新市場とか、オリンピック会場には強い関心をもっていたが、やはりホームドアに熱心であったとは思えない。

こんな東京が、4年後にパラリンピックをやるというのだから、冗談にしては性質が悪いし、真面目なだけにうすら寒いものを感じる。

私は政治とは、弱い者を救済して、社会の一員として活用することの出来る能力をもっていると確信している。大企業とか事業欲溢れる商売人は、政治が手助けしなくても、勝手に進んでいくものだ。

しかし、高齢者とか障害者は、法律や制度の助けがないと、元気な人たちとは同じ条件では活動できない。そして、一人一人は弱くても、数が集まれば、それは大きな力となる。

なにより、社会的弱者に適切な施策を行っている国、都市は、外から見て素晴らしく思えるものだ。巨大な都庁とか、壮麗な公共建造物よりも、立派に輝くものである。

無駄な支出に終わった、オリンピック会場コンペや、選挙などをやる余裕があるのなら、ホームドアの設置くらい、政府の金で作るべきです。何故なら、東京メトロは、正式には東京地下鉄㈱であり、出資者は国(財務大臣)が54%、東京都が46%の事実上政府傘下の法人なのですから。

コメント (2)
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