馬の話が続きます。
自動車のエンジンの出力を馬力で表示することがあります。私は長いこと、馬力とは馬一頭の牽引力を示したものだと思い込んでいました。ところが、wikiによると以下のとおり。
>馬力(仏馬力)horsepower 荷役馬。当初の1馬力。 由来 名前の通り、元々は馬一頭が発揮する仕事率を1馬力と定めたものであった。1馬力は輓馬(荷を引く馬)が継続的に荷を引っ張る際の仕事率を基準にしており、単純に「馬の最高出力=1馬力」を表すわけではない。全力で加速しているサラブレッドは、実際には数十馬力もの脚力を出しており、人間でも100メートル走などにおける瞬間的な最大出力では1馬力程度の力を出すことができる。馬力という単位は、ジェームズ・ワットが蒸気機関の能力を示すのに、標準的な荷役馬1頭のする仕事を基準としたことに始まる
・・・なるほどねぇと思うと同時に、知ったつもりでいたことが、実は違っていたことに驚きました。ただ、以前にも書いたと思いますが、この馬力の語源となった馬は、我々がTVなどで目にするサラブレッド馬ではありません。
サラブレッドという馬種は、金持ちの娯楽としての馬の競争競技である競馬に勝つために、品種改良して産まれた特殊な馬です。短距離を高速で駆け抜けるという競技のために、何世代にもわたり慎重に改良を重ねたものです。
そのせいか、馬本来の使い方、すなわち荷役や耕作などに使うには不向き。もっといえば、貧弱すぎてすぐに故障してしまうでしょう。
私が仕事上で、馬主の申告を請け負うことがありました。だから知っています。サラブレッドの大半は、故障などで引退することを。そして引退すれば、ほとんどの馬は、馬喰(ばくろう)さんに引き取れれて処分されてしまいます。
多くは解体され、食肉とされる他、皮製品にされたり、肥料などにされると聞いています。天寿を全うするサラブレッドは、ほとんどいないのです。
産業革命により動力機関が実用化されるまで、馬は重要な運搬手段でした。戦争では高速機動を活かしての騎馬隊として活躍し、平時には荷物を牽いて物流に大きく貢献してきた生き物です。家畜と称される生き物のなかでも、牛や豚、羊と並ぶ重要な役割を担ってきたのです。
本来は非常にタフな生き物であり、簡単に足を故障するようなやわな生き物ではなかったのです。
競馬場で疾駆する馬の姿は、勇壮である以上に美しくもあります。でもあのサラブレッド馬の姿は、人間の欲望により捻じ曲げられた造形なのです。毎年、確定申告の時期になると、申告に必要な資料のなかに馬の処分に関するものを見ないことはありません。
仕事ですから、なんも言いませんけど、なんとも寂しい気持ちにされられます。
きっと、本当は競馬場ではなく、広大な草原を疾駆したいのでしょうねぇ。