ヌマンタの書斎

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平和のための軍事知識 その二

2020-03-16 12:07:00 | 社会・政治・一般

高齢化社会と、少子化を同時に迎える日本の国力は、どう考えても低下を避けられない。

だからこそ、平和を守るためには最低限の資金負担で、最大の効果が得られるように努めなければならない。

敵を倒す為の軍事力ではなく、敵に攻められない為の軍事力で十分だ。ただし、軍事力は相対的なものなので、相手の軍事力を適切に測る必要がある。

冷戦時代は最大の仮想敵国であったロシアは、日本同様人口の減少に悩むことになる。またロシアが一番力を入れる防衛は、なによりヨーロッパ側であるため、極東地域の軍事的な重要性は、相対的に低い。

メルカルト図法の世界地図に慣れ過ぎると理解が難しいが、地球儀を見れば分かり易い。ロシアが北方4島に拘るのは、アリューシャン列島から北方4島までは、対アメリカの最前線であるからだ。

つまりアメリカがシベリア側からロシアに攻め込まない限り、ロシア極東地域の軍事的な価値はあまり高くない。ただし、アメリカは日本列島という巨大な兵站拠点を持つ。それゆえに警戒と偵察は欠かせない。

つまり日本にとっては、ロシアの軍事的脅威は、相対的に重要度が低くなる。

一方、共産シナは事情が異なる。かつては輸入を必要としない大国であった。しかし膨大な人口を支える為、食料や工業原材料を国外から輸入する必要性、作った製品を輸出して経済を潤わせる必要性が出てきた。

だからこそ、その輸出の大動脈である西太平洋の支配権が欲しい。シナの海洋進出はもっぱら自国の内政事情により推し進められた。だが、太平洋を自国の勢力圏だと見做す超大国アメリカが立ち塞がる。

だからこそシナは、軍事力の拡張に必死になる。そして日本列島はアメリカの最前線基地である以上、日本もまた攻撃範囲である。

日本政府もアメリカの了解の下、自衛隊基地のうち沖縄方面軍の強化に努めている。ところがアメリカはラプターの日本への輸出を許さなかった。

その真の理由は不明だが、推測できるのはラプターが先進的過ぎて、その技術を国外に出すことへの不安である。もう一つある。ラプターがあまりに先進的過ぎて、ロシアやシナ相手にはオーバースペックである可能性だ。

両国とも、アメリカが最先端を行く電子兵装に劣ることは分かっている。しかし、後進的な兵器だとしてもシナの物量作戦は無視できないはずだ。にもかかわらず、アメリカのシナに対する警戒感は緩い。いや、産業スパイなどに対する警戒感は非常に強い。

しかし、アジアに於いて最大の軍事力を有するシナに対して、アメリカはさほど軍事力を増強していない。なぜか?

私のみたところ、アメリカは本音ではシナの軍事力をあまり評価していない。シナもその自覚があるので、決して本格的な戦闘は望んでいない。

具体例を挙げてみたい。

共産シナ軍の主力戦闘機は、J20とJ30であるかのように報道されることが多い。だが数の上ではJ8及びJ7が一番多い。J8は旧ソ連のスホーイ15のコピー機であり、J7はベストセラーであったミグ21のコピーである。両機ともヴェトナム戦争の頃の戦闘機であり、現在では旧式化している。

次に多いのはJ10なのだが、これはイスラエルで開発されたが実戦登用されなかったラビのコピー機だと言われている(北京政府は独自開発だと言うがね)。そして現在しばしば紙面を賑わす主力戦闘機とされるのが、スホーイ27のコピー機だとされるJ11であり、スホーイ57またはアメリカのラプターのパクリだとされるJ20である。

私はコピーだからといって馬鹿にしている訳ではない。問題はその中身だ。実は共産シナ空軍の戦闘機には二種類あるとされている。一つは中国が独自開発したと主張する国産エンジンの搭載機であり、もう一つがロシア製のエンジンを搭載した機体である。

はっきり言えば、シナには高度なジェットエンジンを作る基礎的な技術がない。だからこそ旧ソ連からのライセンス生産と技術指導を受けて初のジェット戦闘機であるJ7を作った。

問題はその後、そのJ7をソ連の許可なくして格安で第三社会に販売してしまったことだ。原型機であるミグ21は、ソ連にとっても戦闘機輸出の看板商品であるからして、そのコピー機を格安で売られてたらたまったものではない。

激怒したソ連は技術者を撤退させ、以降完成品のエンジンの輸出には応じても、ライセンス生産は認めなかった。戦闘機のジェットエンジンの製造には、高温高圧力に耐えるタービンブレードが必要不可欠である。そして冶金技術の低いシナには、これを自国で生産することが出来なかった。

いや、未だに出来ていないのが実情だと思われる。だから、エンジンだけロシア製の最新型ステルス機であるJ20は量産が出来ずにいる。ロシアが足元をみて、なかなかエンジンの輸出に応じないからだ。

ジェット戦闘機の数だけならば、日本の十倍以上とされる共産シナ空軍であるが、そのうち西側の戦闘機に対抗できるだけのエンジンを搭載した機体は、おそらくその十分の一程度だと思われる。

これがアメリカが対シナ空軍用に最新機を用意しない最大の理由ではないかと推測されるのだ。

もちろん軍事情報は秘匿されることが原則なので、実態は違うかもしれない。しかし、公表されるほどには共産シナ空軍の実力は高くないと私は考えている。

現在、自衛隊は旧式化したとされるF15からF35への移行を目指しているが、これには莫大な資金が必要となる。更にF2戦闘機の後継をF3として独自開発する計画もあるが、私はけっこう懐疑的に思っている。

それ、本当に必要なの?

コメント
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