謹厳な文学愛好家が読んだら激怒するんじゃないかねぇ・・・
そう思いつつも、最近お気に入りと化しているのが表題の作品だ。なにせ冒頭に空腹でぶっ倒れた中島敦から始まり、自殺愛好家の太宰やら悪役の芥川などと純文学作家目白押しなのだが、内容は異能力バトルなのだ。
その異能力の名称がおもしろい。太宰の「人間失格」とか芥川の「羅生門」宮沢の「雨にも負けず」と想像できるもの、まったく予想もつかないものなど不思議な異能力が目を引くが、本当に面白いのは、能力者の性格というか人格だろう。
この作品、週刊少年ジャンプに連載されてもおかしくない内容なのだが、掲載誌がマイナーな漫画雑誌である少年エースなので、あまり知られていないのが残念無念。
間違っても文学の香りなんざしません。だけど、微かに香る純文学作家の個性が楽しい。ねたバレになるので書かないけど、暇になると自殺の手段を探る太宰と、それに真面目に付き合う国木田のかけあいが馬鹿らしくもおかしい。
ちなみに頁が進むに従い、スタインベックやモンゴメリーといった海外の文豪も登場しての奇想天外なバトルが楽しい。特にフィッツジュラルドの傲慢セレブぶりが私のツボに入っている。
軽い気持ちで読んでみては如何?