ワンコ、大活躍。
警察犬が犯罪捜査で活躍していることは良く知られている。しかし、ミステリーに於いて警察犬が活躍する話は、あまり多くない。あるにはあるのだが、あまり記憶に残っていない程度の作品が多い。
その点、この作品は大丈夫。
ワンコは元軍用犬だ。爆発物検知のために戦地で活躍していたが、敵の銃弾でパートナーを失い自らも大怪我を負った。その後、爆発音に怯えるようになったため、警察犬として再訓練を受けて新たなパートナーを待つ。
新たなパートナーとして現れたのが、似たような経験を持つ警官だった。パトロール中に銃撃戦に巻き込まれ、愛する人を失っただけでなく、自身も重傷を負った。
つまり互いに似たような境遇にある一匹と一人。似ているのは過去だけではない。偶に後足を引き摺る癖は、警察犬にとっては大きなマイナスなのだが、今のところ見つかっていない。また警官は療養中に銃撃戦の事件の担当刑事に激しく迫ったことから、警官としての資質を疑われている。
どちらもハンデを負った状態で、果たしてこのコンビは活躍できるのか?事件の謎を追ううちに、とんでもない事態に巻き込まれる一匹と一人。さあ、どうなる。
ワンコ好きなら、読んで後悔することは絶対ないとお墨付きの作品です。
余談ながら巻末の解説で、北上次郎がワンコが活躍するミステリーを他に10作品取り上げています。私の大好きな「ウォッチャーズ」のアインシュタインや、「悪徳警官はくたばらない」のタラが取り上げられていて嬉しい。
そしてまだ私が未読の作品が8作あるのが、もっと嬉しい。さァ落ち着いたら探さねば。