二大会連続の優勝には、素直に賛辞を贈りたい。
でもね、この年代までだと40年以上前から、けっこう良い成績を残していました。原因は高校サッカーの隆盛です。そして優勝歴が少ないのは、高校サッカーが学校教育の一環であったからでもあります。
今回、タイで行われたアンダー17世代のアジア大会ですが、私が感心したのは若き日本人選手たちのフィジカルの強さでした。もちろん個人のテクニックも優秀であり、チームの戦術理解も良かったと思います。
しかし、20世紀の頃に行われたU17大会では、フィジカルに勝る中東の選手や、激しく汚い接触プレーを得意とする南コリアの選手に、若き日本人選手は皆弾き飛ばされていたのです。
それが変わってきたのは、やはりJリーグ開幕以降です。ただ当初は個人間でかなり差があった。中田英寿や前園といった選手は、専属のトレーナーを付けて、サッカー向けの体を鍛え上げていった。しかし、多くの高校サッカー部では筋トレ自体を禁じていることも珍しくなく、またサッカー専門のトレーナーも少なかった。
やがて海外で活躍する選手が増えてくると、試合には出れなくても、最新のサッカー向けの筋肉トレーニングを身に着けて帰国するようになる。それが少しずつJリーグの各チームに広がり、当然ユース年代の選手にも普及した。
こうなってくると、強豪の高校サッカーチームでも、プロのユースチームに勝てなくなり、その対策として海外からのコーチを招聘したり、元Jリーガーをコーチとして採用して選手個人の身体能力の向上が図られるようになった。
最近の若手選手が、いきなり海外で活躍する例が増えたのも、十代でのサッカー向けのトレーニングが普及した結果であるのです。だから今回のアジア大会でも、イランや南コリアの屈強な選手たちの激しいチャージに当たり負けしない日本選手が普通になりました。
日本人の真面目な努力の成果でもあり、その意味でも嬉しい優勝です。でも、世界標準にようやく追いついただけとも言えます。
一方、近年日本に勝てなくなってしまった南コリアの敗因は何なのでしょうか。決して身体能力が低下した訳ではありません。またテクニックが低下してもいません。指導者の能力が低いとも言えないと思います。では何故か。
やはり転機は日韓ワールドカップであったと思います。南コリアは準決勝まで進みドイツに敗退。それでもベスト4の実績を残して、これで世界の一流強豪国となったと胸を張りました。しかし、しの中身は審判を買収しての危険なラフプレーの連続で、欧州とりわけイタリア、スペイン、フランスから毛嫌いされてしまいました。
上から目線で劣るとみていた日本は、ベスト8が限界でしたが、フェアプレーに溢れ、欧州のみならず南米、アフリカからも好意的にみられる。この落差に悲嘆したのか、ラフプレーだよりではなく、しっかりと中盤でボールを回して技術的にも評価されるようなサッカーを目指した。
実際、南コリアのサッカーは日本と遜色がないくらいにはテクニカルな面が増えた。ちなみにこの傾向はイランやサウジにもみられる。ただし、勝利に強く固執するメンタルが、時折悪い方へ戻らせる。だから相変わらずの反則ラフプレーのオンパレード。
この気質は一朝一夕では直らないでしょうね。ちなみに南コリアが弱くなったとの記事も見受けられますが、それは違うと思います。実際、カータルW杯でも日本同様のベスト16ですし、先だってのU20のアジア大会ではグループリーグ敗退の日本に対し、南コリアは準決勝まで進んでいます。決して弱くはないです。
ただ対日本戦での意識の違いは確実にありますね。かつては絶対に日本には負けられないとの強い意志がえげつないほどの反則プレーに表れていました。しかし、現代の南コリアの選手は口では絶対日本には負けられないと言いつつ、実際にはJリーグでプレーしたいとか、日本のカルチャーが好きだったりと意識が変化しています。
変わらないのは、南コリアの熱狂的なサポーターと、それを煽って販売部数を稼ぐマスコミで、これらは目立つ故に汚い反則プレーをしてまでしてでも勝つことが使命だと狂信している。だから日本に負けると大騒ぎ。でも、当の選手たちは冷静ですよ。時代は変わったと思いますね。