ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

川の怖さ

2023-07-26 12:13:32 | 社会・政治・一般

川遊びは怖い。

なぜに、このことを教えない親が多いのか私は不思議でならない。

学生時代、夏は標高の高い山に登るか、あるいは沢登りを楽しむかが悩ましかった。標高の高い山は北アルプスか南アルプスなど3千メートル級の稜線を持つ山域なのだが、アプローチが長くどうしたって二泊三日以上の日程が必要になる。交通費を考えると一週間は欲しい。

一方、近郊の山の沢登りならば日帰りも可能で、帰路に温泉を楽しむことも出来る。夏の沢場は水も適度に冷たく、木々を抜けて吹き渡る風は涼しい。最後の藪漕ぎだけが苦痛だが、私は稜線に逃げて藪を避けるナマケグマであったから問題ない。

ただ・・・沢の怖さも知っていたので、間違っても一人では行かない。力量の高いメンバーと行くのが必須だった。何といっても日本の沢筋は苔むして滑りやすい。日本の山岳事故の多くは、沢筋で起こるのが常識だった。雨が流れ込む沢筋は、登山道も崩壊しやすく、危険度からいったら冬山登山に匹敵すると考えていた。

細い沢でも、その流れは油断できない。まず流速が速い上に、流れが複雑で安心できるのは膝下程度の深さまで。腰下までの深さがあれば、沢筋ならば簡単に溺れる。水泳の達人でも、沢筋では自由に泳げない。この怖さを知らない人は多い。

実際、ユーチュブなどの動画では、オリンピック級の水泳選手が綺麗で穏やかに見える川で溺れそうになる番組がアップされている。比較的穏やかな川に見えても、水中での水の流れは複雑だ。その原因は川底にある。川底には巨石があったりすれば、水流は複雑な流れとなる。人間の力ではその水流に抗するのは難しい。

まして流れの速い沢筋だと、水の力は想像を絶する。私自身、足首の少し上程度の深さなら耐えられるので油断したら、膝上の深さで水流に捕まり動きが取れず転倒したことがある。幸いザイルを結んでいたので、すぐに引っ張り上げてもらえたが、単独だったら流されて岩にぶつかったり、小さい滝に落ちたりして死傷事故となる可能性があった。

川の怖さはわが身に染みて理解しているつもりだ。

ただ、この連日の暑さである。子供たちが川沿いで遊びたがる気持ちは分かる。実際、川沿いは風も少し涼しいし、水の流れ、せせらぎの音の気持ちよさ、ただ川の傍で座っているだけでも気持ち良い。子供たちが、夏休みの初日に暑さから逃れるため、ついつい川に入ってしまう気持ちは痛いほど分かる。

週末に飛び込んできた小学生3人の水死の事故の報を知った時、痛ましさに胸が痛んだ。親の嘆きたるや如何なるものであったのか、想像するのも辛い。

TVの映像を見ると、穏やかな流れの小さな川だ。この映像から川の怖さを察する人は少ないと思う。でも敢えて断言する。川遊びは怖いと。遊ぶなら、まして川に実際に入ってしまうのならば、地元の子供たちが長年遊んでいる場所に限定すべきだ。

川には澱みというか、流れの穏やかな箇所があることが多い。深さもけっこうあるはずなので、泳げる子なら飛び込みまで楽しめる絶好の遊び場だ。でも、そのような安全に遊べる箇所はそう多くない。まして今は一人っ子が多く、年長の姉妹から教わる機会もないことも多いはずだ。

親が教えなくてどうする。いや、地元の学校は、その危険性を把握していなかったのか。自治会は何をしていたのか。昔から住んでいる人たちならば、川の怖さを知っているはずなのに。

いや、責任のなすりつけは良くない。親の嘆きは分かるけど、似たような事故を防ぐためにも、しっかりと事故の記録を残して欲しいと思います。

コメント (6)
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