国家を作れなかった悲劇の民族、それがクルド人だ。
人類史のなかでも、数千万の人口を持ちながら、民族を統合することが出来ず、結果的に自分たちの国を作れなかった珍しい民族がクルド人。もちろん国を作らなかった民族はけっこういるが、その大半は少数民族であり、国を作れなかったのも規模が小さすぎて、独立を維持できないゆえの合理的な判断だ。
しかしクルド人は違う。なにせ世界中に5千万人はいるとされており、その大半がトルコ、イラン、イラクの山岳地帯に分散している。クルディスタンなんて呼称もあるが、有史以来、一度として民族としてまとまったことはない。
その理由、あるいは原因はいろいろあるが、一つには民族、人種、宗教などが混在し、その上にオリエントという人類史上最初の文明が確立した地の一つであり、国家の存亡が著しく激しかった地であるという歴史的な背景が大きい。
さらに付け加えるならば、一度として民族を統合するような象徴的存在、いわゆる英雄を持たなかったが故に統一意識が乏しく、クルドとしての文化的支柱が存在しない。だから各地にクルド人独特の方言はあっても、互いに通じず、ペルシャ語やトルコ語などで意思疎通を図る。
唯一共通項があるとしたらクルディスタンと呼ばれる山岳地帯を郷里とすることだが、なにせ複雑な地形故に交通の便も悪く、しかもトルコ、ペルシャなどの強国の支配地となることが多く、政治的にまとまれなかった。
その上、マホメットが興したイスラム教に完全に取り込まれてしまい、文化的独自性を育てることもなかった。だから民族意識の高まりとともに世界各地の民族が独立国家を作った時も、自主的にまとまることが出来ず、むしろ強大な国家の支配下で分断されて安住を図るのがやっとであった。その意味では、極めて不幸な民族だとも言える。
古代以来、ペルシャ帝国の臣民であったり、トルコ帝国の統一政策のもとでトルコ人として育てられたりと常に他民族の強い影響下にあった。ユダヤ人のように独自の宗教、文化などを持っていれば、まだ違った歴史を持つこともあり得たが、歴代の帝国の支配下に安住していたがゆえに、自立心の乏しい民族であることも事実である。
周囲に強大な国家あるいは文化圏が存在したことで、クルド人としてまとまれなかったのは悲劇ではある。しかし、ユダヤ人やアルメニア人のように強い民族意識を維持することが出来なかったのは、彼ら自身の責任でもある。
酷な言い様だとは自覚しているが、強い意志の下、過酷な現実に耐え、戦うことによってのみ自らの権利は守られる。人権とか平和は与えられるものではなく、自ら血を流し、同族の屍の上に築かれるものである。
少し同情すべき点があるとしたら、ペルシャ帝国にせよトルコ帝国にせよ、人類史上屈指の強大な政治勢力であり、少数民族を支配するのに長けた優秀な国家であったこと。またイスラム教という異民族を取り込むことに長けた宗教に精神面で従属してしまったことだろう。これでは自立は難しい。
このクルド人なのだが、実は日本にも2千人前後が生活している。主に埼玉県の蕨市や川口市に住んでおり、大手の下請けである零細企業に勤めている。ただ、日本に帰化したクルド人や在留特別許可を得て住んでいるクルド人を頼って渡航してきた不法難民が多い。
国籍こそトルコ人だが、トルコ国家への帰属意識は乏しく、その上国家に対して従属した意識の乏しい人が多く、そのせいで治安を悪化させるような行動をすることが多い。あくまで私の個人的見解だが、ヴェトナム、ナイジェリア、クルドの人たちは、日本の治安を悪化させる外国人の代表的存在となっている。せめてシナ人のように表面上だけでも司法に従う姿勢をみせてくれれば良いのだが、現実には危うい存在になっている。
何度も書いているが、私は少子化により人口減少が確定している日本にとって、外国人は貴重な存在に成り得ると考えている。しかし、それはあくまで日本の法治の下での健全な生活者としてである。
残念ながら少なからぬ外国人が就労目的だけで、法治に従う気持ちのない危ない存在であるのが事実である。厄介なことに、彼らを不幸な難民として扱うことで、自らの善人アピールをする不埒な日本人がけっこういることだ。彼らの偽善的行為が、事態をより面倒にしている。
もちろん全てのクルド人が危うい存在な訳ではない。合法的に永住権を取得し、建設業や飲食業で働く真面目な人も多い。ただ観光ヴィザで来日し、その後不法滞在者となってしまったクルド人もかなり居る。しっかりと日本の学校に通い読み書きも十分な人材もいる。しかし、現状はただの不法滞在者の扱いであり、まともな就労が難しい。
その彼らを救済すると称して、難民申請で乗り切ろうと試みる善人アピール大好きな無責任日本人が跋扈して行政を混乱させているのが現状だ。就労目的を隠して観光ヴィザで来日し、期限切れで不法滞在者となったクルド人たちを難民だと強弁することが、却って事態を悪化させている。
現実問題として、若い日本人が働きたがらない零細企業の過酷な現場を支えているのが、彼ら不法滞在の外国人であるのも事実だ。高齢化の進む零細企業の現実が、ますます彼ら不法滞在者を必要としている。
現行では、彼ら不法滞在のクルド人の難民認定による救済は、裏口入学のようなもので、むしろ事態を悪化させている。いい加減、そろそろ実態に合わせた外国人の合法的な就労システムを構築しないと、ますます状況は悪くなると思います。
ただし、インドネシアやヴェトナムのような研修システムはダメ。あれは日本の天下り役人を肥え太らせ、仲介する業者だけが儲かる技能研修制度は、あまりにひどすぎる。あれでは犯罪に走る外国人が増えるのは必然です。