YouTubeで食事に関する番組を作っている人はかなり多い。また外国人のユーチューバーの中には、母国と日本のものを比較した番組を出していることが多々たる。
なかでもフランス人はパンに対する拘りが強く、とりわけクロワッサンについては黙っていられないらしい。日本語で番組を発信しているのがベベチャンことオレルアン氏とアマさんことアマンディーヌさん。この二人、立場も育ちも違うのだけど、日本が大好きでほぼ定住している。
この二人に限らないのだけど、フラン人はワインとパンにはうるさい。男性のベベチャンがワインに厳しいのは分かるが、アマさんもブルターニュ地方出身の自称フランスの田舎娘だけに、ワイン蔵が身近にあったので、ワインには一言、二言ある。
それだけでなく、二人ともパン、とりわけクロワッサンに厳しい。この二人は共に日本在住のフランス人としてコラボ動画を作ったこともある。またベベチャンは友人のパティシエのフランス人と共に都内のパン屋さん巡りをしたりして、クロワッサン評定をしたりもしている。
小柄なのに大食いのアマさんも、やはり酒田市在住の友人のフランス人を伴い、コンビニのクロワッサンから個性的なパン屋のクロワッサンの食べ比べ動画を作ったりしている。
その評価の違いについては、それぞれの番組を見てもらうに限るので、ここでは取り上げない。ただ、日本人がお米の良し悪しを評価するのに負けず劣らず、繊細にして大胆な評価をかますのが非常に面白いとだけ書いておく。
ちなみに日本ではフランスパンとして知られているバゲットに関しても、フランス人は非常にうるさく、かつ細かい。ついでに言えば、チーズに関しても一人一人好みはあれども、その評価はかなり辛辣でもある。
クロワッサンに話を戻すと、私は複雑な気持ちになる。
いや、好きなのだが、如何せんクロワッサンはバターを大量に使うせいかカロリーが高いのだ。まぁ私に言わせれば、美味しさの秘訣は塩とカロリーであり、クロワッサンに限らずパンはその二つを過剰に使う傾向が強い。そして認めなくてはいけないが、そのほうが美味しいのだ。
無塩パン、食べたことありますか。
私は急性腎不全の最中、この無塩パンを必死で食べていました。私は病気は食べて体力つけて治す教の信者なので、不味かろうと必死に我慢して食べていました。無塩のおかゆ、無縁のパン、そして無塩でかつ低カロリーのクロワッサン・・・
あたしゃ、これで心が折れた。不味い、本気で不味い。食パンやおかゆはまだ我慢できた。でも見た目が美味し気なクロワッサンが無塩で、バターの香りが全然しないことにめげてしまいました。栄養士さんの苦心の賜物なのは分かるけど、外見と相反するあのまずさは、精神的ダメージが大きすぎた。
涙ぐみながらクロワッサンを食べる私を不審に思った看護婦さんに本音を話すと、けっこう真剣に聞いてくれた。塩分制限が緩和されたのは、その翌週のことでした。どこまで影響があったのかわからないけど、あのくそ不味いクロワッサンこそ転機であったと、私は信じています。