ヌマンタの書斎

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定額減税

2024-04-23 11:34:14 | 経済・金融・税制

役人は間違えを認めない。

認めないのだから失敗は存在しないし、反省する必要もない。法制度の改正を実施した段階で成功であり、その改正が現実にどのような効果を出したのかは人事考課には影響しない。

これは日露戦争以来、日本政府の伝統であり、何人たりともこの伝統を崩すことは認めない。だからこそ日本政府、特に霞が関は同じ過ちを繰り返す。

その典型的な具体例が、今年度の景気対策の目玉である特別減税である。初めに結果を予言しておくと、この特別減税で景気回復は見込めない。この場合の景気回復とは、個人景気のことである。外国人観光客によるインバウンドでもなく、また史上最高値を更新した株式市場のことでもない。もちろん大企業の経営成績とも関係ない。

本来の目的は相変わらず冷え込んだままの個人消費を刺激して、個人の財布のひもを緩めることだ。そこで岸田内閣が打ち出したのが定額減税である。所得税が一人3万円、扶養家族一人に付き3万円である。夫婦と子供一人ならば9万円だが、単身者は3万円で打ち止め。住民税も一人1万円である。

サラリーマン、OLの場合6月から天引きされる源泉所得税で調整される。事業所得者は来年の確定申告時に精算される。

事務所に送られてきた税務署からの資料を読みながら私はボヤいた。「また同じこと、繰り返すのかよ・・・」と。

実は似たような定額減税を平成10年に実施している。しかし景気浮揚効果は薄く、むしろ批判を招く醜態であった。だから翌平成11年には最大25万円の定率減税を実施している。こちらの方が効果は大きかったと記憶している。

おそらくですが、今年のこの定額減税は上手くいかないでしょう。それは平成10年に既に立証されている。しかし、自分たちの政策立案にミスを認めない官庁と、それに追随するだけのマスコミ様が放置したため再び同じ過ちを繰り返す。

官庁は政策を立案し、それに予算を付けられれば成功と見なし、その効果については知らん顔。記者クラブで飼い慣らされたマスコミ様は、餌付けされた土鳩よろしく賛同するだけ。

これが日本の現状です。馬鹿は馬鹿を繰り返す典型でしょうね。


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