人は自由に生きられる、どんな生き方だって出来る。
そう云われることが多いが、それほど自由ではないと思う。不況によるリストラや、震災等の災害により生き方を制限されることは珍しくない。自分の思う通りに生きられることなんて、むしろ稀ではないかと思う。
またその生き方は、その育った生い立ちや、最初の職場での環境に大きく左右される。いや、縛られると評した方が現実に近いと思う。特に社風が確立(停滞とも云うが)した大企業や、定型的な職場姿勢が求められる官公庁を最初の職場に選ぶと、必然的にそれに染まる。
表題の作品は短編集なのだが、主人公は警察の出身者ばかりだ。途中で辞めた者、今まさに辞めようとしている者、それぞれ警察から離れても、警察という組織の鋳型にはまった人生を引きずる。引きずらざるを得ないのが、警察という組織に染まった者の宿命であるかのように。
その生き方は不器用であり、いささか滑稽でさえある。正義と、その反対のものとの狭間に身を潜めながら、正義の矛盾を感じつつも、不正に加担することは拒否する。
自由な選択肢があっても、敢えて地味で不器用な道を選ぶのが警察なのか。その生き方は地を這う虫のようにちっぽけではあるが、確実に目的に向かって進んでいく。迷いはあれど、妨害があろうと、真っ直ぐ目的に向かっていく。
それが、警察という組織に身を置き、その中で生きてきた男たちの生き様なのだと、表題の書は教えてくれる。
入院中に院内図書室から借りた本ですが、一晩で読みきれる快作でした。機会がありましたら、是非どうぞ。
これ人間ドラマが深くて秀作ですよね~。
こういう警察小説がもっと読みたいです。(*´∇`*)
読んでみよう。
でも、十代の頃に知らず知らずに狽チた人としての型枠には、見事にはまっていると思います。
型にはまった人生だからこそ、見えてくる景色があるのだと、この本は教えてくれました。