入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「夏」 (53)

2016年07月11日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


いい天気で牛も喜んでいる。様子を見に上に行くと、目敏く和牛がこっちを見付けて、塩をよこせと走ってきた。しかし全頭の牛を確認し、異常がないかを確かめてからでなければ塩は与えないことにしている。牛の中には寝様の悪いのもいて、近付いて行っても、半目を開けたまま寝長まっていたりして、こちらの弱った臓器の一部に軽い衝撃が走る。
 前にも書いたが、短い牛の生涯の中でここで自由気ままに過ごせる4か月が、最も幸福な時であるはずだ。少なくともそういう気持ちで、牛たちには接しているが、さてそれが牛たちに伝わっているかは覚束ない。
 それにしても酪農は、手がかかり、気を遣い、労多い仕事である。益も少ないかどうかまでは分からないが、将来にも不安は付きまとう。高齢化が進む中、今のような状態で、若い労働力が育っていくか心配である。
 
 酪農も含め、日本の農業が抱える問題は深刻で、米さえ作っていっれば良かった時代はとうに過ぎ去った。にもかかわらず、兼業農家の多くは補助金や機械化に頼り、集約化が進もうとあまり危機感を持っているようには見えない。日本の農業人口は4パーセント、GDPに占める割合はたったの1パーセント、農業従事者の平均年齢がやがて70歳になるという。だからといって、食をおろそかにしてはいけないと、あの人はそれだけを言いつつこの世を退場していった。
 こうやって毎日牧場に来て、牛の様子を見たり、牧場施設の維持をする牧場管理人という仕事も、考えるまでもなく農業従事者である。百姓である。あまり大したことはないが、そういう自覚を、10年の歳月が持たせてくれた。

 本日も農業従事者は、天体観測を諦めて、家路をたどることにいたします。
 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H28年度の営業案内」をご覧ください。
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