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暑中お見舞い申し上げます。
お忙しい毎日をお過ごしかと思います。梅雨も明ければ、高原にも短いけれども本格的な夏がやってきます。
炎暑に焼かれる都会の真昼に、寝苦しいその夜に、その昔、幾たび東京脱出の衝動に駆られたかわかりません。
ここでは、夏の暑さに閉口するのはひと夏に3,4日のことでしかありません。ただ、年を取ったということ
でしょう、他の季節と比べ夏に、何か特別な思いなどありません。
木々は没個性的な緑の葉を必要以上に茂らせ、風に吹かれて牛と過ごす時間は弛緩してます。
夏がいいのは、草原を渡る風と、大きな懐の深い青い空と、銀河の横たわる星の海です。
白い雲に誘われ戯れてみた遠い昔、広大無辺の宇宙に拒まれた卑小な想像力・・・。
8月の盆が過ぎれば、短命な夏は逝き、入笠には気の早い秋が訪れるのです。吸い込まれるような
秋空が人をもの寂しくもさせれば、ツタウルシで始まる絢爛たる紅葉に、忘れていた熱情を思い起こすことも
あるでしょう。
どうかそういう季節が来るまで、御身を大切にいそしまれんことを、祈り申し上げます。
早々
入笠牧場管理人拝
名古屋のNさん、了解しました。お待ちしてます。
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