入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

’16年「夏」 (68)

2016年07月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



 青い空を見るのは、久し振りのことのような気がする。外に出てみたら、雨にに洗われた清朗な空が、思いのほか大きな範囲に広がっていた。天気予報は、昼ごろになってまた雨の予報だが、恐らくはずれるだろう。昨日も書いたが、梅雨はどうやら明ける!その方に賭けたい。
 
  昨夜も上に泊まって、東京FMでやっていた「ジェットストリーム」という古い、懐かしい番組をPCで聞いた。片翼とその遠くに暁光が待つ遙かな空から、ジェット機のエンジン音に混じって、コックピット内だろうか、英語の交信が入る。続いて、あの懐かしくも甘く切ない「ミスターロンリー」の曲がうねるように流れ出す。それからしばらく間をとって、名曲にかぶせるように城達也のお馴染みの朗読が始まる。「遠い地平線が消えて、深々と夜の闇に心を休める時・・・」。
 あのころは、時代の高揚があった。楽天的で明るく、分不相応な希望が持てた。その典型が海外雄飛の夢であり、空港は、飛行機は、スチュアーデスは何とも華やかで、別世界の存在に見えたりした。中でも「ナショナル・フラッグ・キャリアー」と呼ばれた日本航空は、行ったことのない遠い国を自由に往来する特権的で夢のような会社に思えた。そのJALが「ジェットストリーム」のスポンサーだった。
 その後に海外旅行が次第に一般化しても、狭い東京の中でもがきつつ、それほど海外に出る機会もなく時だけが過ぎていった。「年を取ったら故郷の谷間に帰り、羊を飼って平和に過ごすのだ」と言ったあの人は、「もし山で死ななかったら」という肝心の前提が崩れてしまい、ヒツジ飼いの夢はかなわなかった。
 目的も、その先の方途もないまま信州に帰り13年、牛守になって10年になる。確かにそれまでアッチへよろよろ、コッチヘよろよろ一貫した生き方などと無縁だったし、今後もそうやって終わる人生かも知れない。きっとそうだろう。
 それでも、この管理小屋の部屋の窓を通して見える変わらない風景、霧に巻かれる権兵衛山の姿には、倦むことはなくいけそうだ。他愛ないことだが、それだけでもいいと思っている。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては、カテゴリー別の「H28年度の営業案内」をご覧ください。

 

 
コメント
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