入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「春」 (1)

2017年04月02日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 先日、「肉体労働者はコンビニ弁当を食べて一人前」と古い友人のkに手紙を書いたら、それを読んだ彼は「知識や技術はあるのだから、せめて週一度スープを作り、晩酌の肴にコトコト煮込んだ豆や人参、あるいは鶏肉などを」食卓に用意するくらいの手間をかけろ、と親切にも言ってきてくれた。
 しかしこれは彼の思い違いで、基本的に食事は毎日自炊、外食も余程のことでもないとしない。どうも野菜の摂取が不足気味で、過剰な塩分は気になるところだが、いつの間にか肉については牛はもちろん、ブタもトンと口にしなくなった。鶏肉も、およそ口にしない。
 入笠の鹿に感染したわけではないだろうが、料理の決め手は塩だと思い込んでいるから、「鮭甘塩」などと表示されていると「マズイ」と同義語に思えて買う気もせず、好物のタラコや干物、粕漬、塩辛などのためには多少の寿命を犠牲にしてもよし、とさえ考えていた。いつの間にか、寿司や刺身にはそれほど食指が動かなくなったが、塩分の強い肴は主菜の位置を守り、変わらなかった。塩への嗜好や信仰は恥ずかしながら、まるで子供や犬が、甘い物をほしがるようなものと同じだったかも知れない。
 それが、Kからの「週に一度はスープを作り」、そして「コトコトと煮込んだ豆や人参を」食べろとあるのを読んで、長いこと忘れていた記憶・感覚が甦ってきた。健康な食ということだ。「スープ」、それに「コトコト」がいい。 
 丸元淑生という人がいた。芥川賞受賞寸前まで行きながら果たせず、「日本に栄養学はない」と言って、そっちの方面に進んだ元編集者であり作家だ。皮肉にも、ガンでその生涯を終えたが、食に関する著作はいろいろあり、代表作は「システムキッチン学」(文春文庫)と言って良いだろう。主題とする栄養とか健康ということよりも、品のよい食生活であり、精神的に落ち着ける食べ物という意味で大変に影響を受けた。
 この本を教えてくれたのが、Kだった。お蔭で食に興味を持ち、その挙句には36か月一度とて黒字にならなかった「キャンプ ワン」を経営し、ついには路頭に迷ってしまったこともあった。
 まあ、こんなことを書いていると終わらないが、早速スープを作ってみた。キドニービーンズ、鶏肉、野菜を言われたようにコトコト煮て、ターメリックとレモンを加え、塩と黒コショウで薄く味付けをした。横に飾ったワインはFMZ君が送ってくれたこんなスープには不似合いの高級ワインだが、KとFMZ君への感謝をこめて、番外とも言える写真と独り言を投稿することにした。

 以前、病嵩じて採食主義者にまでなったが、これをまたやるとなると牛守との整合性が気になる。それに、入笠で楽しみとする昼の弁当はどうしたらよいのだろう。
PS:TDS君が来たので、早速スープを馳走したら絶賛してくれた。

 
 
コメント
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