入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「春」 (2)

2017年04月03日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 東京は桜が満開だという。伊那谷は梅の花が咲き始めたところで、桜はまだ10日ばかり待たねばならない。今年は遅くまで雪の降る心配があり、まだ気分はとても花見どころではない。例年、高遠城址の花を目当てにたくさんの観光客がやってくるが、牧場の始まる20日ころまでには花の峠も過ぎて、通勤路でもある城址公園周辺の交通渋滞は大体終わっている。どうか今年もそうであってほしい。
 
 気になるのはやはり山道に残る雪で、車で1時間、歩いて1時間、片道2時間、通勤に往復4時間、それがしばらく続くとなればさすがに尋常な話とは言えない。策を練らねば、と言って、泊まり込み以外に妙案があるとは思えない。だが、食料の問題をどうするか・・・だ。
 市に例年の除雪を少し早めにすることができないかと問い合わせてみたら、驚いたことに市としては牧場に通ずる林道の除雪はやっていないという。となれば、林業関係者しかいないが、毎年連休前に仕事があってもなくても除雪するなどということは、とても考えられない。どうなっているのか。
 いつもの年だと、たいがい「ド日影の曲がり」手前の、狭い空き地に車を止める。そこは、「座頭沢」の中の一番深い谷にあるコの字型の大曲がりのことで、誰ともなくそう呼ぶようになったようだ。急斜面を雪崩れてきた雪も一緒になって、最後まで車の通行を拒もうとする場所だ。
 日影はそこを過ぎてもさらに続くが、それでも天気の良い朝は、頭上の木々の梢を通して青い空が見えたり、降り注ぐ春の日の光を森全体が懸命に吸収しているのが分かる。春まだ浅く、森は少しづつ眠りから覚めつつある時、新鮮な冷気のすがすがしさが身体の奥にまで沁み込んでくる。人気のない静まり返った森や、林の中で味わう平安を、いつもよりより強く意識しながら大切にして歩く。
 牧場の北門まで約30分、そこから管理棟までやはり30分、「貴婦人の丘」辺りで一息入れると、広い真っ青な空や、遠くに見える白い山並み、芽吹き始めた木々、一番芽の出始めた薄緑の放牧地が目に入ってきて、「今年も始まったな」という思いを、最も強く感じる時だ。
コメント
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