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上ってきたときは青空も見えていたのに、やがて本降りとなってしまった。昼過ぎて管理棟へ帰ってみれば、雨具を通して雨だか汗だかで、肌着まで濡れてしまっていた。仕事中、雨のことがそれほど気にならなかったのは、頭上のコナシの枝が多少は雨傘の役をしてくれていたからだろう。午後になってさらに雨脚は強くなった。
枝打ちは神経を使う仕事である。切っている枝に予想外の反撃をされたり、不安定な脚立から落ちそうになったり、時には切断中にチェーソーが噛かまれて動かなくなったりすることもある。ただでさえ厄介極まりないコナシに太いフジヅルが巻き付いていたりすると、作業は余計に労力、注意が必要だ。それに、チェーンソーそのものが獰猛な獣のように危険で、太ももを切って死んだ人がいる。指や腕など訳も無い。
以前のことだが、大型の観光バスが来るようになったら、徒長した木の枝がバスの車体を傷付けてはいけないと、枝打ちはそういうことを考えて始めたことだ。しかし今は、そんなことは思わない。放っておけば、そのうちコナシの枝のせいで道路が大変鬱陶しいことになってしまうという心配はしても、かつて抱いたような大型の観光バスへの期待などはもうない。
年を取って、考えがより保守的になった証拠だろう。牧場の行く末は全く楽観できないが、それでも今ではこの静かな高原の牧場こそが、ここには一番相応しいと思うようになっている。
昨日の山を下るときに、千代田湖経由で松倉の集落を通った。きょうの写真はそのときに撮った。ここから眺める平和な集落に、コスモスの花がよく映える。
秋到来。ボツボツ予約が入るようになりました。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」と「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。