

Photo by Fuwa氏(2点とも)
冬の森の中にひっそりと眠る「御所が池」。近くを通ることはあったが、昨年は確かここへは一度しか行ってない。それでも、冬枯れた森のことをここで呟くときは、いつもこの辺りの風景を思い浮かべている。
いつのことだったか、どこまで続くか分からない踏み跡やビニールテープに誘われて、幾つもの沢を渡り、急な勾配の森の中を彷徨ったことがある。大体の稜線の位置を頭に入れてはいたが、放置され、忘れ去られてしまったような林業関係者の廃屋や、あやふやな足跡の残る森や渓を進んだ。途中から雨が降ってきて、戻りかけたらいつの間にか踏み跡を見失い、広い湿地帯一面に白い花の咲いている森の中に出た。
そこはまるであるアメリカの短編小説の世界を思い出させるような鬱蒼とした森の中で、主人公の老婆や彼女の住む小屋、さらにあの小説の役者として欠かせないオオカミまで登場させたくなるような場所だった。凍れる月の光が差し込む森の中で、オオカミの群れに囲まれて孤独な死を迎える老婆の話だが、オオカミをクマに代えても、そういう災厄が自分の身に降りかかるはずはない、と思ってはいた。まだ、そこまでは老いてはいていなかったからだ。クク。
生憎の強い雨に急かされてゆっくりする余裕もなかったが、再訪できるか覚束ないままあそこはそれ以来、入笠の山域の中では時々思い出す気になる山の中になっている。
以前にこの「御所が池」が有名なTV映画の撮影地に抜擢されたことがあったが、機材搬入など問題があって実現には至らなかった。今にして思えば、それで良かっただろう。
昨日のUme氏の写真は、やはり最初に思った通りの場所だったと、撮影者本人から知らせてもらいました。感謝。管理人の面目が立ちました。
赤羽さん、昨年はいろいろな意見や貴重な情報を寄せていただきありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。Fuwaさん、PH有難く早速使わせて貰いました。N野氏には、メールに返事をいたしました。
日が傾きかけた長い影を引く落葉樹の森や牧場も、やがては雪の中に眠るでしょう。
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