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いつもなら、たいがいへそ曲がりの牛が何頭か残るものだが、きょうは誘導したら競わんばかりに全頭が囲いの中から出てきた。それだけ草が不足していたということだろうか。しばらくは近くの草地にいたが、やがて牛たちは勝手知ったかのように広い放牧地へと移動していった。この上は、電気牧柵を切断したり、脱柵などしないことを祈るばかりだ。
今朝ここに着くと、一番で小入笠の頭まで上がった。バラ線や支柱、それにバズーカなどと呼ぶ、支柱の打ち込みに使う道具も車に積み、防火帯の急な作業道路を上がった。ここを軽トラで上がるにはそれなりの経験、技術が要って、他には誰もやらない。
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バズーカ、支柱打ちには欠かせない
途中で車を捨て、それから頭まで歩き、真っ先に昨日立ち上げた電牧の電圧を計った。そこが電牧の最終点だから、昨日1㌔ばかり延長した結果、それ以前と比べ電圧がどれほど低下するかをずっと気にしていた。4千ボルト前後しかなかった。下では7千500くらいあったのに、予想以上に低い。この程度だと、牛より鹿に切られる可能性が高くなる。少なくも6千ボルトは欲しい。対策としては、第1牧区の鹿対策用に使っているG社製の機械の方が新しく、能力も高いから、第4用の相当古いS社製と交換するという手がある。簡単な接続切り換えだと思うが、できたら誰か電気の分かる人に頼みたい。
その後、縦線である通常牧柵の点検補修に意外と手間取る。この牧柵の立ち上げの苦労をいたるところで思い出し、それから過ぎた年月の早さを感じた。東京から応援に来てくれたSさんはすでに亡く、Kさんは難しい病を背負ってしまい、それも長い。
外から戻ってきたら、群れから離れた1頭の和牛が、金網越しにいかにも懐かしそうに囲いの中を眺めていた。物言わぬ牛を見ながら、代わって人間があれこれと牛の気持を忖度し、空想する。いつの間にか身に付いた癖。
F破さん、先達てはいろいろ有難うございました。頂いた通信も励みになります。また出掛けてください。ところで、あそこは今ごろ小屋開きですか。
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