入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「春」(59)

2021年05月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


「この写真、牧柵が邪魔じゃない」
「何を言ってるんだ、牧場の風景だぞ」
「ふーん、霧が深かったのね。あの白い線は」
「あそこを電気が流れるんだよ」
「ああ、電牧とかいうのね」
 他愛ないと言えば他愛ない会話である。相手はどこまで関心があるのかないのか。

 山室川の渓の中は若葉が雨に濡れて、新緑がさらに一段と鮮やかさを増してきた。第2堰堤から眺める対岸の落葉松の鮮やかな緑の色は、まるでチューブから絞りだした絵具のようだ。
 こんな天気でも、清流の水量は減るばかりで、流れを邪魔するように岩や石ころが大分目立つようになってきた。ただ予報では、早くも梅雨を思わせるような天気がしばらく続くというから、そのうちには豊かな水の流れが戻ってくるだろう。
 それにしてもまだ5月も半ばというのに、もう雨の季節とは恐れ入る。五月晴れはあれだけで、このまま雨期に入るとなると、その後のことが心配だ。梅雨の期間が7月の間も続くのか、それとも炎暑の夏が早まり、かつ長引くのか。そんなことになれば、covid-19と猛暑で日本列島は人も自然も煮えたぎりはしないか。このごろ開催の是非が話題になっているオリンピック・パラリンピックも、一体どうなっているのだろう。

 一昨日、昼は過ぎていたはずだが第1牧区の電牧の立ち上げを済まそうとして最後の一打を終えたと思ったら、携帯の呼び出し音が鳴った。友人のMが、迷いながらも牧場へ何とか辿り着いたという連絡だった。思いがけない来訪である。そしてすぐ、またもや電話。今度は富士見パノラマのK氏からだった。すでにMの電話で現場を離れ急登していた最中だったので「5分で行きます」と、少し無理なことを言って急いだ。
 Mには少し待ってもらい、先にK氏との用を済ませた。約1年ぶりだったろう。何か面白い企画でも考えてみたいと話したり、伊那側の状況などについて知っている限りのことを伝え、情報交換をした。

 Mとは春先に会って以来だ。いろいろと気遣ってくれ、差し入れもしっかりとしてくれた。有難かった。あの辛口の酒を飲みながら一夜入笠で、長い思い出話に花を咲かせることができたらどれほど愉快だろうか。山の夜、昔に帰える。散らかり放題だった部屋がすっきりと片付けられたように、その時は気分の良い記憶だけが思い出されるだろう。
 本日はこの辺で。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする