Photo by Ume氏
このごろの朝は郭公の鳴く声で目覚め、日中は山笑う山上の牧にあって自然の恩寵をほしいままにする。無窮の大空と、広大な大地はさまざまな緑の色に溢れかえっている。きょうは高曇りの空、ようやく芽吹き出した三本のミズナラの向こうには乗鞍、穂高の山並みがそれぞれ気品・気高さをそなえ見えていた。
夕べには酒を酌み、蛙の合唱を聞きつつ夜の帳の降りるのを待つ。田園で暮らす妙味、18年前、今と同じころに信州に帰って以来、その思いはずっと変わらない。ふる里の自然を満身で称えたい時だ。
きょう下から、牛の入牧を6月の10日ごろにしたいが、草は大丈夫かと聞いてきた。どうせ、馴化のため1,2週間は大型の囲い罠の中に置くことだし、そのころで大丈夫だと答えておいた。まだ頭数は決まっていないが今年は入牧が何回かに分散するようで、大型トラックは使わないかも知れない。となれば、あれだけやった枝打ちの意味は果たしてあったのだろうかと、誰に問えばいいのか。
和牛の数が増えると言っていたが、その頭数によっては乳牛と分けた方がいいかも知れない。大体、和牛の力が強く、ホルスは一歩も二歩も譲らなければならない。特に給塩の場合がそうで、満遍なく行き渡らせようとすると、かなりの工夫と根気も要る。
度を越えた自分本位の振る舞いに、ついお前らは雌か、と言いたくなることもあるが、このごろの人間界ではそういうことを言うのはご法度らしい。
雨が降ってきた。梅雨の長期化が心配されているが荒れた山道が気になる。牛が来れば、当然それも心配になる。corvid-19に加え、雨は副業の方にも影響するだろう。「副業」というのは山小屋やキャンプ場の営業のことだが、そういえば今年はまだ撮影の話が1件も来ていない。
すでにワクチン接種を2回済ませた人も身近にいる。大都会よりも地方の方が早いようだ。まだ接種の予約はしてないが、当分の間は副業の方、細々とやる。
どうも泣き出した空に、早朝の高揚感が少し失速気味になってしまった。鳥の声がしているから雨は大したことないだろう。本日はこの辺で。